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小池百合子、少子化対策のため「卵子凍結」案…有働由美子アナも挑戦し、都内だけで1135件【専門医に聞く】
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.14 20:00 最終更新日:2022.12.14 20:00
12月7日、小池百合子東京都知事は、「健康な女性の間で将来の選択肢として関心が高まっている」とし、「卵子凍結」への支援を検討すると明かした。「子供を望む方に対する支援の充実」で、少子化対策の一環だという。
ここ数年、広く知られるようになった「卵子凍結」という言葉。将来の妊娠に備え、未受精卵を凍結保存することを指す。12月8日に日本受精着床学会が発表したアンケート結果によれば、2021年、都内で健康な女性が卵子凍結した件数は、確認できただけで1135件にのぼるという。
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有働由美子アナは、『news zero』(日本テレビ系)でこのニュースを報じるなかで、自身も「卵子凍結に挑戦したことがある」と告白。人気YouTuber・てんちむも、2022年7月に卵子凍結を決断したと発表するなど、最近は有名人の口から飛び出してくる機会も増えている。
小池都知事の発言が報じられると、SNSには賛否の声が数多く寄せられた。
《若いときは必要制を感じないかもしれないけど、ほんと、これやっておけば未来の自分への保険になると思う。》
《仕事の調子が良い時に子育て時期を重ねたくない人には、意味のあることなんじゃないかな。財産築いてから産みたい人もいるだろうし。若い時には子供に興味なくとも年数が経って気が変わった場合にも対応できる》
といった賛成意見もあれば、
《少子化対策というのなら、消費税を下げた方がまだいいんじゃないかな それか子供用のオムツとか粉ミルク、育児にかかる製品の消費税なしにするとか》
《必要なことかも知れないけど、少子化対策として力を入れるのはそこじゃないい感…》
といった否定的な意見も。
産婦人科専門医の重見大介さんは、卵子凍結のメリット・デメリットをこう語る。
「メリットは大きく2つです。まず、若い時期の卵子を保存して好きなタイミングで使えること。妊娠・出産は非常に大きなイベントですから、タイミングをある程度コントロールすることで、ライフプランやキャリアを考えやすくなります。
また、若い卵子を使うことで、染色体異常による病気の発症確率は確実に下がります。
一方、デメリットとしては大きく3つあります。1つめは身体的な負担が大きいことです。卵子を採るとき、針を卵巣へ刺すことになるので、麻酔が切れた後に、どうしても痛みが生じます。加えて、事例は少ないですが、針を刺すことで内出血するなど、合併症が生じるリスクもあります。
2つめに、金銭的な負担が大きいこと。現状すべて自己負担で、採卵から凍結保存まで、採取する卵子の数が多い場合には、数十万から100万円ほどかかってしまいます。ある程度はお金がないと、実行できないでしょう。
3つめに、将来的な負担も考えなければなりません。たとえば、30歳で卵子凍結をして10年後に出産するとなると、卵子は若いままですが、体は40歳。そうなると、卵子由来ではない流産のリスクや、難産や帝王切開が増えるといったデータもあります。子宮筋腫や高血圧など別の病気を持って妊娠する女性も増えますし、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症といった合併症の率も上がってしまいます」
日本の「生殖医学会」が定めるガイドラインによれば、採卵時の年齢は「36歳未満が望ましい」とされている。妊娠の推奨年齢に明確なラインはないが、45歳あたりを超えると、合併症などのリスクが高まり、負担が大きくなる。
卵子凍結の成功率もけっして高いわけではない。2022年10月にイスラエルで出された報告では、平均37.9歳で卵子凍結し、平均43.3歳で凍結卵子を使用したが、最終的に卵子の生存率は66%で、出産に至ったのは26%だったという。
「卵子を凍結しておけば、将来は安泰という考え方は間違いですし、成功確率についても、頭に入れておく必要があります。
また、卵子凍結はしたものの、結局パートナーが見つからなくて卵子を使うことができなかったケースも多い。アメリカの研究報告では、4割くらいが使用できなかったというデータもあります。
さらに、少し引いた視点で見ると、仮に多くの人が卵子凍結を経て、40歳など高齢で出産した場合、医療資源がものすごくかかることになります。お金の面もあわせ、今後、社会全体で考えていく必要があるでしょう」(重見さん)
卵子凍結は、女性の一つの選択肢として重要だが、少子化対策を目的に税金を投じるなら、総合的な議論が必須だろう。
( SmartFLASH )