岸田文雄首相の「国会軽視」ともとられかねない発言が物議を醸している。
7月22日、岸田首相は、政策提言組織「令和国民会議(令和臨調)」の第2回会合に出席。15分ほどあいさつしたあと、令和臨調の4人の共同代表から質問を受けた。
共同代表の1人、佐々木毅元東京大学総長が、「国会運営は明らかに行き詰まりを見せ、さまざまな問題も生み出しつつあり、国民の不満に答えるには不十分な状況にあると思う」とし、「政治全体の新しいエネルギーを生み出すような状態を作りだす」ことへの所見を問うた。
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この質問に、岸田首相はこう答えた。
「国会の運営については、長年の蓄積があるわけだが、時代が大きく変化しているわけだから、それに答えられるような議論をおこなうために、国会の運び方やありようも変わっていかないといけないと思う。
決断をし結果を出す重要性を申し上げたが、少なくとも国会の議論においても、批判にとどまるだけではなく、国民に対して選択肢を示すことができる議論――こういった議論は国民にわかりやすい形で示していく努力をし、そのために委員会や本会議をどう運営していくか考えていくことが大事だと思う。
歴史の転換点にあって、政治や国会の役割が物足りないというご指摘を謙虚に受け止めながら、いまいった方向で努力をしていきたいと思っている」
この発言に対し、時事通信は「行政府トップの首相が立法府の在り方に言及するのは異例で、野党から批判が出る可能性もある」と報道。実際、SNSでは批判的な声が多くあがった。
前兵庫県明石市長の泉房穂氏は同日、自身のTwitterにこう書きこんだ
《『岸田首相が「国会も変わらねば」と“異例”の言及をした』とのニュースだが、『多くの国民は「総理こそ変わらねば」と“普通”に思っている』ように思う・・・》
立憲民主党の大串博志衆院議員は同日、自身のTwitterにこう書きこんだ。
《どの口が言うのか。国会は黙っていろと言わんばかり。まともな総理の発言ではない。私たち野党側が提案している議員立法をことごとく審議しないままたなざらしにしているのはどこの誰だ!》
佐々木共同代表が「総理総裁としての所見を聞きたい」と質問していることから、「自民党総裁として答えた」という言い訳は成り立つだろう。だが、岸田首相からそうした言及はなし。
「岸田首相は、これまでも『国会軽視』と批判されてきた過去があります。
岸田首相は、2022年7月8日の安倍元首相の死去から約1週間後に記者会見で『国葬』とすることを表明しました。8月10日に第2次岸田改造内閣が発足すると、閣僚と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との『接点』が問題視され、国葬に反対する声が高まりました。
8月18日、野党5党が臨時国会の召集を求めましたが、臨時国会が召集されたのは9月3日。閣議決定のみで国葬を決定した岸田首相には『国会軽視』との批判が渦巻くこととなったのです」(政治担当記者)
さらに今回の「国会は変わらねば」とする異例の発言に、SNSではツッコミが殺到している。
《行政トップが立法府に口出しするとか異常過ぎる。自民党は日本を権威主義国家にしたいのか》
《あるべき姿は閣議決定連発し国会では同じ原稿を読み続けて議論せず答えず、ただ数の力で淡々と採決していくその運び方の事ですか。それは民主主義ではありません》
《この発言はおかしいかと。政府は議会にて審議される側、批判を受けるのは当然で、議会に対して丁寧な答弁を心がけるのは政府の方です。立法府の方ではありません》
《国会での議論を軽視している輩が何を言う。変わらなくてはいけないのは、国会ではなくあなただ》
安倍元首相は過去4度も自身を「立法府の長」といい間違え、批判を浴びた。SNSでは《岸田文雄氏も安倍晋三氏同様、自分を立法府の長だと勘違いしてないだろうな?》という声もあがっている。
( SmartFLASH )