11月3日に発売予定された最新モデル<iPhoneX>。アップルが「スマートフォンの未来」と胸を張る10周年記念機種だが、“待ってました” とばかりに、発売前から中国では偽物が流通していた。新製品のたびに偽物が生産されるのは、もはや恒例のようだ。
今回本誌では、このけしからんコピー品の性能を調査。携帯ジャーナリストの石野純也氏の第一印象はこうだ。
「パッと見はだいぶ似せていますが、素材感や操作性などのハード面はパチモノ感が漂いますね。ソフト面の見た目の再現度はなかなかで、アプリデザインを真似るなど無駄に凝っている印象。
コントロールセンターのデザインは本物にかなり近づけているし、本物のウリのひとつ “フェイスID(顔認証)” の項目まであるのは驚きです。本物であれば、誤認識100万分の1の3Dセンサーで顔を登録し、以降覗きこむだけでロック解除できますが……。
偽物は登録しようとすると自撮りカメラが顔を読み込むふりをするだけで、実際には顔認証どころかパスコードロックすらかけられません」
<偽iPhoneX>のお値段は850人民元。日本円にして約1万4600円だ。
「iPhoneの基本的機能がまったく使えず、本物のように作動する機能はひとつもない(笑)。値段が10分の1とはいえ、おすすめできません。想像だけで作った努力は買いますが、この技術力があれば、もう少しちゃんとした端末を作れますよ。スマホとしては30点くらいの出来」(石野氏)
中国の通信事情に詳しい携帯アプリ会社「TANREN」社長・佐藤勝彦氏は安易な偽物購入に警鐘を鳴らす。
「いちばん怖いのは、<偽iPhone>を使った結果、仕込まれていたウイルスによって個人情報を盗み出されること。入力したIDやパスワード、クレジットカード情報などを中国の違法業者に転送される危険性があります。道楽で購入して、詐欺被害に遭う恐れは十分考慮すべきです」
さらに、法的リスクもある。
「中国で販売されている<偽iPhone>は商標権を侵害するものです。偽物だと知りながら、購入し、転売をした場合、商標権侵害となる可能性があり、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金が科せられることがあります」(弁護士・佐々木好一氏)
中国でこのような偽物が横行する現状を、アップルはどう捉えているのか。
「相手にしていないというのが実情。機能の進化こそ製品の楽しみです。お金や時間をかけて訴訟する予定はありません」(アップル広報部)
たとえ外見が似ていても、使い物にならない “なんちゃってiPhoneX” では無意味。頑張って本物を買うのがいちばんです!
(週刊FLASH 2017年11月14日号)