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巨人が抽選で高校通算68発の浅野翔吾を獲得 いま「ドラフトの歴史」を振り返る
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.20 18:19 最終更新日:2022.10.20 18:24
DeNA、ロッテ、阪神以外の9球団が、1位指名選手を事前に公表する異例の事態。「逆指名」「自由枠」「希望入団枠」が廃止され、12球団の1位完全入札制のドラフトで、初めて“抽選なし”になるかが注目されていたが、そうはならなかった。
楽天が1位指名を公表していた荘司康誠(投手・立教大)を、ロッテも1位指名。また、巨人が公表していた浅野翔吾(外野手・高松商)を阪神も指名し、抽選となった。
【関連記事:ドラフトで“本命選手”を19人も外している巨人…プロ入り後は“外れ1位選手”とどっちが活躍?】
荘司の当たりくじは楽天が、浅野は巨人が引き当て、それぞれ、1位指名を公表していた球団が交渉権を獲得する結果となった。
今年の一巡目は、以下のとおり。
・ヤクルト 吉村貢司郎(投手・東芝)
・DeNA 松尾汐恩(捕手・大阪桐蔭高)
・阪神 森下翔太(外野手・中央大)
・巨人 浅野翔吾(外野手・高松商)
・広島 斉藤優汰(投手・苫小牧中央・投手)
・中日 仲地礼亜(投手・沖縄大)
・オリックス 曽谷龍平(投手・白鴎大)
・ソフトバンク イヒネ・イツア(内野手・誉高)
・西武 蛭間拓哉(外野手・早大)
・楽天 荘司康誠(投手・立教大)
・ロッテ 菊地吏玖(投手・専修大)
・日本ハム 矢澤宏太(投手・日体大)
2021年に戦力外・引退した選手は、日本野球機構の調べでは143名で、平均年齢は27.8歳。平均在籍年数は7.3年。多くが30歳手前でプロ野球の世界から去るのが現実だ。さまざまなドラマを見せてきたドラフトの歴史を、ここで振り返ってみよう。
【日本プロ野球ドラフトの歴史】
●第21回(1985年)
PL学園高校で甲子園を沸かせた桑田真澄と清原和博の「KKコンビ」。清原は読売ジャイアンツの入団を希望し、桑田は早稲田大学の進学を表明していたが、読売ジャイアンツは桑田を1位指名。大学進学せず入団する。清原は6球団から指名を受けたものの、巨人から指名されず、ドラフト後の記者会見で涙を流す。
●第22回(1986年)
史上初12球団すべてがドラフト1位に投手を指名する。
●第23回(1987年)
長嶋茂雄の長男・長嶋一茂(立大)がヤクルトスワローズと大洋ホエールズに1位指名を受け、ヤクルトが交渉権を獲得。
●第24回(1988年)
福岡ダイエーホークスは1位、2位、3位、6位の指名が重複し、抽選にすべて失敗。
●第25回(1989年)
野茂英雄が史上最多の8球団から指名を受け近鉄バファローズに入団。契約金は史上初の1億2000万円。契約時に「トルネード」投球を変更しないという条項がもりこまれた。
●第26回(1990年)
小池秀郎が最多タイ8球団から指名を受けロッテオリオンズが交渉権を獲得するも指名を拒否。松下電器野球部でプレー。
●第27回(1991年)
オリックスブルーウェーブが投手としてドラフト4位で鈴木一朗(イチロー)を指名。その他にも田口壮、中村紀洋(近鉄)、石井一久(ヤクルト)、斎藤隆(横浜)など、のちのMLB経験者が指名される。
●第28回(1992年)
甲子園で5打席連続敬遠を受けた星稜高校の松井秀喜が4球団競合の末、読売ジャイアンツが交渉権獲得。当時読売ジャイアンツ監督の長嶋茂雄自らくじを引き、交渉権獲得とわかり、大きくガッツポーズ。当時、松井は阪神タイガース入りを希望したが、長嶋から直接電話を受け感動し、読売ジャイアンツに入団。
●第29回(1993年)
大学生・社会人の選手で1球団につき2名までの対象選手が、自ら希望するチームを宣言することができる「逆指名制度」が認められる。
●第30回(1994年)
福岡ダイエーホークスが駒沢大学進学予定の城島健司を1位で強行指名。これをきっかけにプロ入り拒否をした選手はドラフト会議で指名できないというルールが定められる。
●第31回(1995年)
福留孝介が高校生史上最多の7球団から指名され、近鉄バファローズが交渉権を獲得するも入団を拒否。日本生命に進む。
●第32回(1996年)
アトランタオリンピックで活躍した井口資仁、松中信彦、谷佳知らが上位指名をされる。
●第33回(1997年)
高橋由伸が読売ジャイアンツを1位で逆指名。千葉ロッテマリーンズファンが地元出身の高橋を逆指名するようにと署名運動が起きる。
●第34回(1998年)
「平成の怪物」横浜高校の松坂大輔が、日本ハムファイターズと横浜ベイスターズ、西武ライオンズに1位指名され、西武ライオンズが交渉権を獲得し入団。当時は横浜ベイスターズが意中の球団だった。MLBでプレイした上原浩治、福留孝介、2018年日本プロ野球初となる1000試合登板を達成した岩瀬仁紀が指名される。
●第35回(1999年)
國學院久我山高の河内貴哉が広島東洋カープに1位指名を受け入団。高校生として球団史上最高の1億円で契約。
●第36回(2000年)
横浜ベイスターズ以外の11球団が投手と捕手を1位に指名。内川聖一がベイスターズに1位指名され、20世紀最後のドラフト外野手1位になる。
●第37回(2001年)
甲子園で最速154キロを記録した寺原隼人が4球団競合の末、福岡ダイエーホークスが交渉権獲得。「逆指名制度」からドラフト前に大学生・社会人を2名以内獲得できる「自由獲得枠制度」に変更される。
●第38回(2002年)
「松坂世代」の大学卒業にともない、村田修一、和田毅、新垣渚が上位指名を受ける。
●第39回(2003年)
全球団競合なしで無抽選となる。
●第40回(2004年)
東北高校のダルビッシュ有が北海道日本ハムファイターズに1位指名される。
明治大学の一場靖弘に対し、読売ジャイアンツが「栄養費」を名目に200万を授受していたことが発覚。結局一場は新規球団の東北楽天ゴールデンイーグルスが希望入団枠制度で獲得。
「自由獲得枠制度」が入団枠を1人に改正し「希望入団枠制度」に変更される。
辻本賢人がドラフト史上最年少15歳で阪神タイガースに指名される。
●第41回(2005年)
「高校生」と「大学生・社会人」に分割され別々の日に開催される。
大阪桐蔭の辻内崇伸と福岡第一高校の陽岱鋼の交渉権の抽選結果が誤って発表される。原因は当たりくじがNPBの印と「交渉権獲得」と書かれ、ハズレにはNPBの印だけが押されていたがNPBの印が当りだと勘違いしたため。
●第42回(2006年)
駒大苫小牧高校の田中将大が4球団競合の末楽天ゴールデンイーグルスに入団。11球団競合するなかで広島東洋カープがPL学園高校の前田健太を競合なしで1位指名。
●第43回(2007年)
日本ハムファイターズが大阪桐蔭高校の中田翔を1位指名し入団。西武ライオンズが2004年から2005年にかけてアマチュア2選手に対し不適切な金銭の授受が発覚。これを受け同年の高校生ドラフトで上位2名分の指名権剥奪を受ける。
「希望入団枠制度」が撤廃される。
●第44回(2008年)
新日本石油ENEOSに所属していた田澤純一がMLB挑戦を表明。プロ野球12球団にドラフトを見送りを求める文書が送られた。同年、田澤はボストン・レッドソックスに3年総額400万ドル(当時約3億8000万円で契約。
「高校生」と「大学生・社会人」のドラフトが再統合される。
●第45回(2009年)
プロ野球12球団とMLB8球団とも面談した花巻東高校の菊池雄星がドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団。寮に入る際は50冊以上の本を持ち込む。
●第46回(2010年)
2006年甲子園を沸かせた「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹が4球団争奪の末、北海道日本ハムファイターズに入団。新人にもかかわらず本拠地の札幌ドームで入団会見を行う。
●第47回(2011年)
東海大の菅野智之が北海道日本ハムファイターズと読売ジャイアンツが指名され、北海道日本ハムファイターズが交渉権を獲得する。しかし、叔父にあたる原辰徳が当時監督をしていた読売ジャイアンツを希望していため入団を拒否。1年間野球浪人を経て翌年読売ジャイアンツから1位指名を受ける。
●第48回(2012年)
花巻東高校の大谷翔平を北海道日本ハムファイターズが指名権を獲得。MLB挑戦を表明していた大谷に「大谷翔平君 夢への道しるべ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~」と題した資料を提示。日本のプロ野球からのほうがMLB挑戦がしやすいことを説明。「投手」と「野手」の二刀流で起用するプランを提示し入団。
●第49回(2013年)
桐光学園高校の松井裕樹が4球団競合の末、楽天ゴールデンイーグルスに入団。
●第50回(2014年)
京都大学の田中英祐が千葉ロッテマリーンズから2巡目で指名され入団。京都大学では工業基礎科学を専攻。卒業論文のテーマは「SFA(表面力測定装置)における水和構造の逆計算理論」。
●第51回(2015年)
東京ヤクルトスワローズと阪神タイガースが明治大学の高山俊を指名し抽選に。その際ヤクルトの真中満監督が抽選結果を勘違いしガッツポーズ。抽選結果が修正され交渉権は阪神へ。金本知憲監督がインタビューで「ビデオ判定でホームランが覆った心境」と答える。
●第52回(2016年)
前年の交渉権訂正にともない、当たりの場合には「交渉権獲得」の印、ハズレは白紙になった。
●第53回(2017年)
早稲田実業高校の清宮幸太郎が高校生最多タイとなる7球団から指名を受け、北海道日本ハムファイターズが交渉権を獲得。交渉権を引いた木田優夫GM補佐はドラフト前にお笑い芸人・明石家さんまから「左手で行け」とアドバイスされた。
●第54回(2018年)
最注目選手は、第100回全国高校野球で優勝した大阪桐蔭高校の野手・根尾昂。中日、日本ハム、巨人、ヤクルトの4球団が競合し、中日が交渉権を獲得。また、準優勝し「金足農フィーバー」を巻き起こした秋田県立金足農業高校のピッチャー・吉田輝星は日本ハムが獲得した。
●第55回(2019年)
注目選手は、U18侍ジャパン合宿で163km(非公式ながら高校史上最速)をマークした佐々木朗希(大船渡)。パ・リーグ4球団(日本ハム、ロッテ、楽天、西武)が競合し、ロッテが交渉権を獲得。
佐々木に続いて競合の可能性があったのが、完成度ナンバーワンと呼ばれた奥川恭伸(星稜)だ。ヤクルト、阪神、巨人の3球団が競合し、ヤクルトが交渉権を獲得した。
●第56回(2020年)
新型コロナウイルスの影響で、高校野球は春夏とも甲子園大会が中止に。アピールする場所が限られたなかで、もっとも注目を集めたのが近畿大学のスラッガー佐藤輝明。関西学生野球秋季リーグ戦でMVPを獲って話題に。阪神、巨人、ソフトバンク、オリックス4球団が1位指名するなか、阪神が交渉権を獲得した。
もうひとりの注目は、東京六大学野球で完封勝利をあげた最速155キロの左ピッチャー、早稲田大学の早川隆久投手。楽天、ロッテ、西武、ヤクルトが1位指名し、楽天に決まった。
●第57回(2021年)
西日本工大の左腕・隅田知一郎が西武、広島、巨人、ヤクルトの4球団から1位指名を受け、西武が交渉権を獲得。巨人はくじ引き11連敗。ソフトバンクが育成選手14人を指名。全19人の指名は2020年の巨人と並び、史上最多。
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