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『六本木クラス』最終話…土下座した竹内涼真の “信念を捨てる” という信念が最高すぎる【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.09.30 17:31FLASH編集部

『六本木クラス』最終話…土下座した竹内涼真の “信念を捨てる” という信念が最高すぎる【ネタバレあり】

 


 最終話――主人公が土下座し、ラスボスが土下座せず。しかし、主人公が人間としての器の大きさで完勝し、なかなか粋な展開でカタルシスをもたらしてくれたと思う。

 

 竹内涼真主演の『六本木クラス』(テレビ朝日系)が、9月29日放送の最終話(第13話)で大団円を迎えた。

 

 

 韓国ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』のリメイクで、竹内が主人公・宮部新(あらた)を演じた本作。六本木で居酒屋を営む新が、非情な仕打ちで自分と父親の人生を狂わせた大手飲食店グループ会長・長屋茂(香川照之)と、その息子・龍河(早乙女太一)に復讐を誓うストーリーである。

 

 新の高校時代の同級生で初恋の相手でもある楠木優香(新木優子)、クールで自己チューな性格ながら新への愛を真っすぐ伝えてきた麻宮葵(平手友梨奈)、このダブルヒロインも大きな話題を呼んだ。

 

 恥ずかしながら筆者は原作を観ていないのだが、未見だからこそフラットに観られるというもの。そこで、今回は『梨泰院クラス』を通ってきていない者として、『六本木クラス』最終話を忌憚なく評していきたい。

 

■主人公とダブルヒロインがそれぞれ魅せた恋愛パート

 

 最終話は恋愛パートでの名シーンが盛りだくさん。

 

 たとえば、意識不明の重傷から快復したばかりの新が、龍河に拉致されている葵を救出しに行こうとするシーン。新をずっと想ってきた優香は必死に止めるが、その制止を振り切ろうとする新は「俺は……葵のことが好きなんだ」と告げる。

 

 それに対して間髪をいれずに優香が放ったセリフ。「そんなこと、アンタ以外みんな知ってたよ」、これが最高にシビれたのだ。

 

 失恋確定となった優香の気持ちを想うと切なすぎるが、なにより途中までメインヒロインのように扱われていたキャラクターにこのセリフを言わせる、いい意味での残酷さがたまらなかった。

 

 すべての決着がつき、新と葵が愛を確かめ合うシーンもよかった。

 

「ありがとう、愛してます、私が幸せにしてあげますね」という、普通なら男側が言いそうなセリフを葵が新に伝え、新が「愛してる」という言葉を、言い回しを変えながら6回も連呼して葵の気持ちに応える。

 

 セリフの要素だけ見れば王道のラブシーンでマンネリとも言えそうだが、絶妙に予定調和から外してくる演出がうまいと感じた。

 

■新が土下座して茂が土下座せず…それでも完勝だったワケ

 

 しかしやはり見ものだったのはラスボス・茂との対決シーンだろう。

 

 まずは序盤で、龍河に拉致された葵の居場所を茂から聞き出そうと訪れた新に、茂は土下座を求める。すると、これまでさんざん固辞してきた新だったが、わりとあっさり土下座するのである。

 

“死ぬことよりも受け入れがたいこと” だった茂への土下座を、愛する女の命を救うためなら厭わない。亡くなった父の「信念を持って生きよ」という教えを貫いてきた彼が、信念を捨てた瞬間……けれどそこには、“大事なもののためなら信念を捨てる” という信念があるわけだ。

 

 これはもう、世界一かっこいい土下座だったかもしれない。

 

 一方、茂は新をあざ笑うが、決して新をビジネス勝負で負かしたわけではなく、新が龍河の非人道的な報復で窮地に陥っていたところにつけこんだだけ。

 

 土下座は相手がそうせざるを得なくなるまでのプロセスが重要なはずなのに、茂はただ新に土下座させたという事実だけを見て、鬼の首を取ったかのように喜ぶ小悪党に成り下がっていた。土下座をしたほうが人間的に圧勝しているという逆転した構図がお見事。

 

 そして終盤、今度は茂が土下座をする立場に……。どん底に落ちた長屋グループを新の会社に買収されそうになった茂は、グループ乗っ取りを考え直してもらうため、新に土下座しようとする。

 

 だが、たっぷり間を取って仰々しく土下座をしようとする茂に対し、新は「今のあなたが土下座をしたところで、なんの価値もありませんよ。これはビジネスなんです、会長」と冷たく言い放ち、土下座をさせないのである。

 

 高校生時代からの悲願としていた茂の土下座直前で、新本人がそれを止めるという展開。土下座をさせられるより、土下座しようとして止められるほうがよっぽど惨めで屈辱的に映るというこの演出は、ある種の発明だと感心した。

 

 新が土下座して茂が土下座しなかった最終話だが、人間の器の大きさで新が茂を圧倒して完勝した形になり、視聴者の留飲はきれいに下がっただろう。

 

 余談だが、本家『梨泰院クラス』では同様のクライマックスでラスボスが主人公に土下座をしたそうだ。

 

■最終話は自己最高視聴率10.7%で有終の美を飾った

 

――本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話9.6%でスタートし、第3話には7.0%まで下落したものの、第8話では初回を上回り大台の10.0%に到達。そして最終話は10.7%と自己最高の数字を叩き出して有終の美を飾った。

 

 テレビ朝日は海外ドラマのリメイクで苦い経験をしたことがある。アメリカのドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のリメイクで、2020年から2021年にかけて2クールで放送した『24 JAPAN』が、低視聴率連発で話題にもならず大コケ……。今回の『六本木クラス』の成功で、テレビ朝日は胸をなでおろしたことだろう。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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