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清原果耶『invert 城塚翡翠 倒叙集』最終話…秀逸だが、神ががった前作に比べると大きな落差【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.12.26 22:21FLASH編集部

清原果耶『invert 城塚翡翠 倒叙集』最終話…秀逸だが、神ががった前作に比べると大きな落差【ネタバレあり】

 

 12月25日放送の『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日本テレビ系)最終話。期待値が上がりに上がってしまっていたため、肩透かしを食った気分でフィナーレを見届けることとなった。

 

 清原果耶主演で今年10月から11月にかけて全5話で放送された『霊媒探偵・城塚翡翠』。その続編となるのが『invert 城塚翡翠 倒叙集』だ。毎回、冒頭で犯人による殺害シーンが描かれ、視聴者は犯人が誰なのかわかった状態で、探偵役の城塚翡翠(清原)が類まれな推理力で犯人を突き止めていく過程を楽しむドラマである。

 

 

『invert 城塚翡翠 倒叙集』最終話(第5話)は、犯人との心理戦や、犯人を追いつめる “仕掛け” も秀逸でよく練られており、単体で考えれば上質なミステリー作品だと感じた。

 

 だがしかし、前作『霊媒探偵・城塚翡翠』の最終話があまりにも神がかりすぎていて、その続編の最終話ということで、どんな驚愕のどんでん返しが待っているのかとワクワクしていたのだが……。

 

 率直に言って、前作最終話と比較するとパワーダウン感は否めない。

 

 ということで、ここからはネタバレありで、『invert 城塚翡翠 倒叙集』最終話を批評させていただきたい。

 

■【ネタバレあり】翡翠が視聴者に仕掛けていたミスリード

 

 第4話と最終話の前後編で描かれたエピソード「信用ならない目撃者」。第4話の冒頭5分ほどで、犯人である調査会社社長・雲野泰典(杉本哲太)が、自社の不正を告発しようとする部下を拳銃自殺に見せかけて殺害。

 

 雲野は元警視庁捜査一課の刑事で、“表情読みの雲野” と呼ばれていた人物で、警察の手の内を知り尽くしていた。

 

 そんな雲野の犯罪を証明してくれそうな目撃者の女性が登場。殺害時の部屋を遠目から見ていた彼女の証言をめぐって、翡翠と雲野の攻防が繰り広げられていく。だが、雲野が巧みに目撃者の証言をコントロールし、翡翠らは劣勢に。

 

 ……と思いきや、最大のネタバレになるが、その目撃者とは雲野の尻尾を出させるため、翡翠が最初からこっそり仕込んでいた偽者だったのである。翡翠は “敵を欺くにはまず味方から” の言葉どおり、仲間である刑事(及川光博)やパートナー(小芝風花)らも騙していたのだ。

 

 犯人との騙し合いは翡翠の圧勝で、ミステリー作品としてなかなかのどんでん返しだった。けれど、やはり前作がすごすぎて、前作最終話と比べると、今回の衝撃度は体感的に半分以下だった気がする。

 

■前作『霊媒探偵・城塚翡翠』はどう神がかっていたのか

 

 ここで前作『霊媒探偵・城塚翡翠』について簡単に振り返っておこう。

 

 前作は基本的に1話完結型のミステリー。翡翠のバディ役は人気推理作家・香月史郎(瀬戸康史)で、翡翠と香月によって第3話までの3つの殺人事件は無事に解決していた。

 

 そして第4話と最終話で、第1話からたびたび語られていた猟奇連続殺人事件の犯人「透明な悪魔」の謎に迫るのだが、その正体はなんと香月だったことが明らかに。バディが犯人というオチだったのだ。

 

 しかし、実は、翡翠は第1話の時点から香月が「透明な悪魔」ではないかとアタリをつけており、彼を逮捕するため最初から “かよわい霊能美少女” を演技し続け、香月との心の距離を縮めていたのだ。

 

 第4話までの翡翠は、奥ゆかしいネガティブ思考のヒロインとして描かれていた。が、それは全部ウソで、本来の翡翠は高慢、不遜、毒舌、したたかという人物だということが最終話で明かされたのだ。

 

 要するに、最後の大どんでん返しをするために、第4話までをすべて伏線にして視聴者をミスリードしていたという、日本のドラマ史上、類を見ない壮大な仕掛けだったのである。

 

■前作最終話と同レベルの衝撃を期待したのは酷だったか

 

 今作『invert 城塚翡翠 倒叙集』の最終話も意外性があっておもしろかったが、前作の最終話には程遠い。また、前作と本作は1クール内で放送されているので、ひとつの作品だと考えると、おもしろさのピークが中盤に来てしまったことになる。

 

 ちなみに、今作『invert 城塚翡翠 倒叙集』の第4話と最終話で、短いシーンながら香月が再登場している。翡翠は拘置所にいる香月と面会し、「君は雲野に殺されるよ」と不穏な予言を受けることに。

 

 けれど、当然、香月の予言は当たらないし、今回の事件の大筋にはからんでこない。つまり、香月のシーンがカットされてもストーリーはほぼ問題なく成立するので、香月再登場は視聴者へのサービス的な位置づけだったのだろう。

 

 とは言え、せっかくわざわざ香月を再登場させたのだから、彼にもっと重要な意味づけをしてほしかった。

 

 たとえば、本当は「透明な悪魔」は2人組で、もう1人の真犯人を捕まえるための計画を翡翠が水面下で進めていた。雲野はもともと翡翠の仲間で、雲野による殺人シーンもただの演技で、香月を再び欺いてもう1人の真犯人をあぶり出す――とか。あくまで一例だが、そんな壮大な仕掛けが最終話で明かされれば、めちゃくちゃ面白かったと思う。

 

 期待しすぎと言われれば、確かにそのとおりだ。だが、逆に言えば、そんな大仰な期待をかけてしまうほど、前作の最終話のどんでん返しは神がかっていたということでもある。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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