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『警視庁アウトサイダー』西島秀俊が主人公キャラにまるで合っていない「お寒く見える」違和感
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.12 11:00 最終更新日:2023.01.12 11:00
率直に言って、主人公のキャラクターと西島秀俊という俳優の “ニン(人)” が合っていないように感じた。
コメディ要素もあるライトな雰囲気の刑事ドラマ『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)。先週木曜21時にスタートした。
主人公は警視庁の「マル暴」(組織犯罪対策部)から所轄の刑事課に飛ばされてきた破天荒な刑事・架川英児(西島)。架川がグレーな手段もいとわず、ときには警察のルールを破り、元マル暴ならではの方法で難事件を解決していく物語である。
秘密を抱えた影のある所轄刑事課のエースを濱田岳、警視庁副総監を父に持つ現代っ子の新米刑事を上白石萌歌が演じている。濱田、上白石という若手実力派が西島を盛り上げる布陣だ。
■ワルっぽい刑事をコミカルに演じる西島が痛々しい…
第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は10.7%で、上々な二桁スタート。
しかし、前述したように主人公のキャラが西島の “ニン” に合っておらず、チープさが漂いまくっている。“ニン” とは歌舞伎や落語で使われる表現で、「“ニン” が合っていない」とは、演じる役柄と本人の雰囲気が合っていないというニュアンスで使われる。
アカデミー賞の国際長編映画賞受賞作『ドライブ・マイ・カー』の主演俳優である西島の演技力にケチをつけるつもりはない。だが、そんな演技巧者の彼でさえ、さすがにここまで “ニン” が合っていない役をものにするのは難しい気がするのだ。
主人公・架川は、サングラスにダブルのスーツを着こなした極道っぽい見ため。言動もそのルックスどおりで荒々しい。
たとえば、包丁を持って暴れる不審者を「おぉい。チャカじゃねぇんだよ、この距離じゃ届かねぇぞ。来ぉい!」と挑発したり、国会議員が出演するテレビに向かって「うさん臭ぇ笑顔だなぁ」と悪態を吐いたり、といった具合。
一方、血を見るのが苦手で、殺人現場で失神しそうになったり、『はぐれ刑事純情派』の大ファンでテーマ曲をスマホの着信音にしたり、極道から足を洗った者の更生に手を差し伸べたりと、人間味のある一面も持っている。
全体的にライトな雰囲気ということもあって、こういった架川の振る舞いがコミカルに描かれるのだが……いかんせん、西島の “ニン” と合っていないため、お寒く見えてしまうのである。
■第2話以降で違和感が薄まることに期待
西島に破天荒な刑事役が似合わないと言いたいわけではない。実際、ハードボイルドな刑事ドラマ『MOZU』(2014年/TBS系)ではクールな主人公を演じていた。『MOZU』はシリアスなストーリーだったため、西島の “ニン” に合った役柄だった。
では、西島がクールなキャラしか演じられないかと言えばそうでもなく、『ユニコーンに乗って』(2022年/TBS系)では、温和で包容力のある癒し系サラリーマンを好演。『真犯人フラグ』(2021~2022年/日本テレビ系)でも、どこか気弱で人がよすぎる主人公を演じていた。両作はコメディ要素もあったのでコミカルな演技も求められていたが、西島が最適と思えるほどばっちり役にハマッていたと思う。
要するに西島は、破天荒な刑事役ができないわけでも、コミカルな演技ができないわけでもないのだが、“コミカルな破天荒刑事” はどうにもこうにも合っていないのである。
また、いまどきそんなことをするかと思うようなドタバタ演出があり、全体的にコメディのセンスが古臭く、西島が全力で演じれば演じるほどお寒くなってしまった気もする。テレビ朝日の木曜21時枠は中高年層の固定ファンが多いだろうから、これぐらいのテイストがウケるのかもしれないが……。
いずれにしても、どんな役でもこなしてきた西島とは思えないほど “演技してます感” が漂っていた。第1話の西島はなんだか痛々しくて観ていられなかったが、まだ見慣れていないだけで、第2話、第3話と観ていくうちに違和感が薄まっていくのかもしれない。
今夜放送の第2話で、多少でも見慣れていくことに期待したい。
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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