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『教場0』の驚愕トラップ「地図に架空の地名を記す」は本当か?専門家コメントに目からウロコ【ネタバレあり】
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.10 20:15 最終更新日:2023.05.14 11:52
5月8日に放送された木村拓哉主演の『風間公親―教場0―』(フジテレビ系)第5話で、「ホントにそんなことあるの?」と思ってしまう、地図をめぐるトラップが登場した。
この回から登場した北村匠海演じる新人刑事・遠野が、刑事指導官の風間(木村拓哉)とともに、大学教授を殺した犯人を追いつめていくシーン。教授の自宅に貼られていた自作の地図をめぐり、遠野と犯人の間で、こんなやり取りが展開されたのだ。
遠野「この家の近くに『無田』という地名が書かれている。キミはこの地図を見たから(タクシーに乗る際)『無田まで』と言ったんだよね。ところが、市販されているほかの地図帳には無田という地名は書かれていない。この手作りの地図にしか書かれていないんだ」
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犯人「そんなバカな話ありますかね? どの地図帳にも載ってるでしょ。大事な地名が、地図によって出たり出なかったりするわけない」
「これもトラップなんだよ」と犯人に告げた遠野は、続けて、こう口にする。
遠野「地図帳って面白くてさ、ほかの出版社に無断でコピーされた場合に証明するため、地図に架空の地名を入れることがあるの。こういう目立たないところに」
結局、このことが決め手となって犯人は観念するのだが、このやり取りでもっとも気になったのは、遠野が言った「地図帳に、あえて架空の地名を入れることがある」という点だ。
やはり同じように感じた人もいたようで、SNSでは、
《地図帳って架空の地名載ってるんだ!?本当なのかな?》
《『教場0』の今日の話に出てきた「地図帳は無断複製防止のために架空の地名入れたりするんですよね」って話、それ現在においても現実的なネタなのかな?》
などの声があがった。
では、実際のところ、どうなのだろうか? 地図や旅行ガイドブックで知られる昭文社に聞いてみた。
「そういった噂はずいぶん前に聞いたことはありますが、昭文社では過去を含め、おこなったことはありません」(地図編集部担当者)
これだけでは、まだ遠野の話が事実かどうかわからない。そこで、『番地の謎』(光文社知恵の森文庫)や『地名の社会学』(角川選書)など地図にまつわる多数の著書を持つ、地図評論家の今尾恵介氏にも話を聞いてみると、なんとも興味深い話を聞くことができた。
「文科省が管轄している中学・高校の地図帳でそういうことはありえないですけど、道路地図、市街地図のなかですと、以前やっていたという話は聞いたことがあります。
ただ、架空の町の名前を書くのはさすがにできないということで、バス停を『○○小学校前』ではなく『〇〇小前』にするとか、略称の仕方をちょっと独特なものにしているという話は聞いたことがありますね」
また、アメリカでは実際にこんなケースがあったという。
「アメリカは著作権意識が高いので、複写された場合、著作権侵害で訴えるためにそういったトラップを仕掛けておくことがけっこうあるようです。
これは何十年も前に実際にあった話ですけど、誰も行かないであろう、誰も知らないであろう山の中に、自分のひいきのアメフトチームの名前を入れておくなんてことをやったようです。
それをほかの出版社がまんまとコピーしちゃったという話もあります。いまみたいにGoogleですぐ確認できるような時代はそうした方法は使えないですが、アナログ時代には、たしかにあったようです」(今尾氏)
これらの話は、あくまでひと昔前の話で、現代ではさすがにないのかと思いきや……。
「必ずしもそう言い切れないところもあって、以前、私が住んでいたマンションの名前の表記が、ある地図上で間違っていたことがあるんですよ。それで、他社の地図を見てみたら、その地図でも同じ表記になっていたんです。これは、どちらかの出版社が複写したということですよね。
また、道路と立体交差になっているはずの線路が、踏切として表記されているのを2社の地図で見たこともあります。これも、一方が複写していることのあらわれですよね。こうしたことを考えると、少なからず、いまもあるのかもしれません」(今尾氏)
架空の地名とはいかずとも、遠野刑事の言っていたことは、あながちウソではなさそうだ。まさに目からウロコの話だった。
( SmartFLASH )