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若林×山里『だが、情熱はある』低視聴率だが、斬新なチャレンジは成功したと賞賛したい【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.06.26 18:00FLASH編集部

若林×山里『だが、情熱はある』低視聴率だが、斬新なチャレンジは成功したと賞賛したい【ネタバレあり】

 

 とにかくいろいろな意味でチャレンジングなドラマだった。数字という部分での結果はかんばしくなかったかもしれないが、個人的にはその試みは “成功した” と言っていいと感じた。

 

 オードリー若林正恭南海キャンディーズ山里亮太の半生を描く、実話ベースの青春サバイバルドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)が、6月25日に最終話を迎えた。

 

 

 世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話4.7%でスタート。第2話から第11話までは3~4%台と低調のまま推移し、最終話は5.0%でフィニッシュした。最後で番組最高を記録したとは言え、視聴率的にはいまいち。

 

 かたや、見逃し配信での人気の指標となっているTVerのお気に入り登録者数も、63.0万人(6月26日現在)と伸びきらず、大台の100万人突破はほど遠かった。

 

■「モノマネ」という言葉だけでは言い表せない

 

 最終話を観て改めて思ったのは、主要キャラを演じた俳優たちの憑依っぷりのすさまじさ。

 

 若林役にはKing & Prince高橋海人、山里役にはSixTONES森本慎太郎と、人気のジャニーズタレントを抜擢。若林の相方・春日俊彰役は戸塚純貴、山里の相方・山崎静代役は富田望生が演じていた。

 

 この4人の演技の精度の高さが、間違いなくこのドラマが “成功した” と言える大きな要因となっている。

 

 高橋は、内面で常になんらかの葛藤をしつつも、表面的には気だるそうな若林の振る舞いを完全再現し、森本も、常に誰かしらに嫉妬し続け、それを燃料として必死にまくし立てる山里の振る舞いを完全に再現。

 

 モノマネと言えばモノマネなのだが、「モノマネ」という言葉だけでは言い表せないものが高橋と森本には宿っていた。

 

 現実の若林も山里も、一般的にイケメンと言われる顔立ちではないため、高橋と森本が演じるにあたり、本職のアイドルでは武器になるはずのイケメン要素が、かなり足かせになってしまうのではと思っていた。

 

 だが高橋と森本の憑依演技は、いい意味で表面的なイケメンさを消し去り、劇中では違和感なく若林と山里そのものに見えていたのである。

 

 春日役を演じた戸塚も山崎役を演じた富田も、肉体的にはマイナス点があった。春日は胸板が厚いマッチョボディがアイコンになっているが戸塚はマッチョではないし、山崎は高身長の大柄女性という要素がアイコンになっているが、富田は大柄ではないからだ。

 

 正直、2人の初登場時の率直な感想として、体格の似ているほかの役者を起用したほうがよかったのではないかと懸念したほど。けれど、戸塚と富田は、その体型のハンデを覆すほど憑依的に好演し、春日と山崎を見事に降臨させていた。

 

 劇中では、南海キャンディーズとオードリーがそれぞれ『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で披露した漫才を役者たちが再現した回があった。

 

 制作陣のあいだでは、当初、役者勢に漫才をしてもらうのはさすがにハードルが高いだろうということで、後ろ姿だけを映すような演出でごまかすプランもあったというが、しかし、4人のなりきりぶりの精度があまりに高かったため、完コピした漫才シーンを撮ることになったという。

 

 役者たちの演技が制作陣の想定を上回ったということだ。

 

■【ネタバレあり】ドラマのなかで、そのドラマが放送開始するカオス展開

 

 そして、地味に衝撃的だったのが、最終話の残り7分ぐらいの段階から、物語が現実に追いついてきたことだった。劇中で『だが、情熱はある』というドラマが始まるというシーンを描き、実際にドラマ放送後のシーンも描かれた。

 

 たとえば、『午前0時の森』(同局系)という番組に出演していた若林と山里の前に、ドラマでそれぞれの役を演じることになった高橋と森本が現れて対面するという実際に起きたシーンを、ドラマ内で再現。このシーンは高橋が若林役と本人役の2役、森本が山里役と本人役の2役を演じるカオスな演出となっていた。

 

 さらに、山里がドラマ放送を実況ツイートしていたことや、若林がドラマ撮影現場に差し入れを持って現れたシーンが再現された。『だが、情熱はある』というドラマのなかで、『だが、情熱はある』が放送されるという、これまたカオスな演出。頭が混乱する感覚がとにかく楽しかった。

 

 鮮度の高い “生モノ” のエピソードを、遊び心あふれるチャレンジングな手法で取り入れる。制作陣の情熱が詰め込まれた作品であるということを、最後に改めて思い知らされた。

 

 視聴率や見逃し配信といった数字ではいい結果は残せなかったかもしれないが、役者勢と制作陣の情熱のシナジーが上手に結実した成功例と言っていいだろう。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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