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吉本新喜劇「最古参」の桑原和男さん、30数年前の大リストラで生き残った理由をめだか師匠に聞いた

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.08.13 15:30FLASH編集部

吉本新喜劇「最古参」の桑原和男さん、30数年前の大リストラで生き残った理由をめだか師匠に聞いた

松井一郎大阪府知事(当時)も出演した吉本新喜劇(写真・共同通信)

 

 吉本新喜劇メンバーで、最古参の桑原和男さん(87)が、8月10日に老衰のため、お亡くなりになりました。

 

 桑原師匠と言えば、入口で「ごめんください どなたですか? 桑原のかずちゃんです。お入りください。ありがとう」と言って一人二役を演じ、勝手に家に入って行くというギャグでおなじみです。

 

 

 関西在住の方たちは、桑原師匠をはじめとした新喜劇の古参メンバーのギャグを、ソウルフードのように子供の頃から慣れ親しんでいます。

 

 ほかの古参メンバーのギャグだと、新語・流行語大賞を受賞したチャーリー浜さん(2021年没)の「…じゃ、あ~りませんか」、島木譲二さん(2016年没)の「パチパチパンチ」、「竜爺(たつじい)」の愛称でひたしまれた井上竜夫さん(2016年没)の「おじゃましまんにゃわ」など、あげればきりがありません。しかし、そういった古参のみなさんが近年お亡くなりになり、寂しい限りです。

 

 桑原師匠に次ぐ現在の古参メンバーは、吉本新喜劇のゼネラルマネージャーを務めている間寛平師匠。その次が池乃めだか師匠になりますが、年齢では80歳のめだか師匠が桑原師匠に次ぐ最高齢になります。

 

 筆者は以前、めだか師匠に、新喜劇についてお話をお聞きしました。

 

 マンネリ化が進み、観客動員数が減少していた新喜劇を改革・再生させることを目的に、1989年10月から1990年3月にかけて『新喜劇やめよっカナ?キャンペーン』がおこなわれました。

 

 実は、そのキャンペーン開始前、高齢化していた座員の若返りを目指すため、会社側が座員一人一人と面談をして、今後の方針に沿わない座員には外れてもらうといった状況だったのです。

 

めだか「口には出して言わないけど、もうそろそろといった『肩たたき』みたいな状態は当時あったな。新喜劇のメンバーをふるいにかける吉本幹部による面接もあったからね。当時やしきたかじんのものまねをよくやっていた帯谷孝史なんかは、面接で入室するとき、ウケるやろうと思って『やしきたかじんでございます』って言うたら、『そんなことを言ってるからダメなんですよ』と(吉本社員に)冷静に言われたらしいからな(笑)」

 

 その面接で、多くの古参メンバーが新喜劇を去ったそうです。

 

めだか「面接とかやってるときに、ベテランの人なんかは『なんでそんな面接行かなあかんねん。そんなんやったらわし、吉本やめるわ』っていう人もおって。その時期に新しい新喜劇の1カ月公演をやったんやけど、『明日から本番や』っていうときに稽古終わりで大崎洋さん(元吉本興業会長)から、『今いるこのメンバーが、新しい新喜劇のメンバーと思っていただいてけっこうです』って言われて。

 

 俺もそのメンバーにおったからありがたいなぁと思って。そのあと大崎さんとしゃべったんやけど『なんで(古参の)めだかさんとか桑原さんが新しいメンバーに残ったかわかりますか?』って。

 

『みなさん、芝居はお上手だと思いますが、そういったことで残ったんじゃないんですよ。これからは若手を中心にやっていこうと考えてます。ですから、後輩に対して温かくアドバイスをしてもらえて、それなりの説得力のある人に残ってもらったんです』と言われて」

 

 会社側は、後輩を育てる人材として、めだか師匠や桑原師匠を必要としたのです。

 

 当初、めだか師匠は新しく入ってきた若手芸人の芝居に、戸惑いを感じていたと言います。

 

めだか「初めは新喜劇の舞台で、お芝居のルールを破るようなことを若手がやっていて。たとえば、本番の舞台で台本を持って出てきたり。あとは芝居で『そのことをなんで知ってんねん?』と聞かれると、普通は『おまえの嫁が青い顔してたから、どうしたんやと聞いたんや』って嫁から聞いたから知っているということを説明するのよ。それを若手は『台本みたもん』みたいな。俺らは『そんなんしたらあかん』みたいなのがあって……」

 

 しかし、徐々に、当時、新たに入団した今田耕司さんや東野幸治さんなどの若手と打ち解けるようになっていきます。

 

めだか「そうやってるうちに、今田なんかも新喜劇がだんだん面白くなって楽しくなってきたんやろうな。俺のことを『めぐ兄、めぐ兄』(めだか師匠の漫才師時代の名前が海原めぐる)言うて慕ってくれるようになって。

 

 俺も若い子に『飯行こうか』と誘って、今田や東野やほんこんや板尾(創路)も連れていったり、カラオケとか行って仲よくなって壁がなくなって、いい感じになったのよ。そんなときに、東京のダウンタウンさんに持っていかれたから残念やったね」

 

 新喜劇の伝統を後輩に伝え育てる古参メンバーが少なくなって行くなか、めだか師匠はまだまだ現役で頑張っておられます。

 

 80歳で史上最年長座長を務める『池乃めだか傘寿記念公演』が9月19日から25日に『なんばグランド花月(NGK)』で開催されます。これからは桑原師匠の意志は、めだか師匠が引き継いでいかれることでしょう。

 

 桑原師匠のご冥福を、心からお祈り申し上げます。

インタビューマン山下

1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退しライターに転身。しかし2021年に芸人に復帰し現在は芸人とライターの二足のわらじで活動している。

( SmartFLASH )

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