『ボキャブラ天国』金谷ヒデユキ「芸人引退後はまったくうまくいかなかった（笑）」復帰して『R-1』準決勝に

 

　1992年10月に放送が始まった『タモリのボキャブラ天国』（フジテレビ系）は、やがて無名芸人たちがダジャレネタで競い合うスタイルに変貌。大ヒットし、1999年の8期まで続く人気番組となった。

 

　番組に出演する芸人は「キャブラー」と呼ばれ、2000年代以降を席巻するようになる。

 

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　浅草で芸人を続けているのが、“地獄のスナフキン”金谷ヒデユキ（57）。『ボキャ天』では、ギターをかき鳴らしながら有名人をイジる替え歌で人気を得た金谷は、1回芸人をやめている。

 

　1998年、シリーズ6期の最終回で1位を獲り、そのまま芸人を引退したのだ。

 

「音楽を本格的にやりたかったので、芸人と二股かけてるのは潔くないなと思ったんです。まわりは大反対でした。特に爆笑の太田は『バーカ、バーカ、何やってんだよ！　せっかく売れたのに。バーカ！』って、引き止めてくれました。当時、自分としては、このやめ方は、すごくドラマチックだと思っていましたね。そこからさらなる美談が始まる予定だったんですが、まったくうまくいかなかった（笑）」

 

　ギター一本で全国を回り、吉祥寺で路上ライブをする日々。しかし、とにかくお金がなくなっていった。

 

「食っていくために、声優の仕事をしていました。やってみたら、音響監督に言われたことをプロとしてこなすのは、スタジオミュージシャン的な仕事だなと思ったんです」

 

　大ヒットアニメ『けいおん！』にも出演。洋画の吹き替えでも活躍した。しかし、金谷は芸人に復帰する。

 

「芸人に戻ることになったきっかけは、BOOMERなんですよね。2008年ごろに声優の黒田崇矢さんとやっていた番組で、ゲストを呼ぶことになったんです。僕は、芸人では伊勢くらいしか連絡を取ってなかったけど、彼らはすぐに出てくれて、『ギャラなんかいらないから、その代わりに、お前ネタやれよ』って。それで10年ぶりにネタをやったんですけど、自分の中で封印していたものを、無理やりこじ開けられて……でも嬉しいし、気持ちいい！　と」

 

　BOOMERの単独ライブにもゲストとして出演、『R-1ぐらんぷり』にも出場し、2013年には準決勝まで勝ち残った。爆笑問題とも再会した。

 

「2016年に爆笑のラジオを聞いていたら、替え歌のコーナーがあったんで、投稿してみたんです。すぐにディレクターから『来てください』と連絡がありました（笑）。爆笑の2人も喜んでくれて嬉しかった。ずっと会ってない時期があって、もう俺のことなんて忘れてんだろうなあ、と思ってたのにね」

 

　放送当時、人見知りの金谷は、まわりの芸人と交流することは少なかった。

 

「今となっては、ちゃんと輪に入りたかったなあっていう後悔があります。僕、爆笑に『高校時代、忍者になりたくて自己流の修行をしてたんだ』と話したことがあったんですよ。その後、みんなで新幹線に乗っているとき、太田がネプチューンのホリケンに『こいつ、おかしいんだよ』と、そのエピソードを披露したんです。僕はなんか恥ずかしくなって『いいよ、もうやめろよ』なんて言っちゃったんですよね。『やめろよぉ、それー！』みたいに、大声出すだけでもおもしろくできたのに……どの舞台でスベったときより、あのときのことが忘れられないんですよ」

 

かなやひでゆき
1988年デビュー。現在は浅草東洋館に出演するほか、ラジオ高崎『＆RADIO』で第1・3週のゲストパーソナリティを務める。2023年10月には愛知県名古屋市＆蒲郡市、群馬県前橋市でツアーを予定している

( 週刊FLASH 2023年9月26日・10月3日合併号 )