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産業遺産ブーム到来!巨大製鉄所で究極の「工場萌え」体験/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.12.30 16:00FLASH編集部

産業遺産ブーム到来!巨大製鉄所で究極の「工場萌え」体験/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

官営八幡製鐵所の旧本事務所外観

 

 ユネスコの「世界遺産」めぐりは、内外問わず根強い人気があります。世界遺産に選ばれる基準は、文化財、景観、自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ物件で、現在、168カ国に1199件あります。

 

 日本には25件(文化遺産20件、自然遺産5件)の世界遺産がありますが、なかでも最近話題にのぼるのが、産業系の遺産です。「富岡製糸場と絹産業遺産群」「石見銀山遺跡とその文化的景観」、そして最も大規模なのが「明治日本の産業革命遺産」です。

 

 

「明治日本の産業革命遺産」には軍艦島、旧グラバー住宅、韮山反射炉などが含まれています。ほとんどが誰でも見ることができますが、「官営八幡製鐵所」は、現在も稼働中の工場内にあるため、ふだん一般公開されていません。

 

 日清戦争後、重工業の基礎となる鉄鋼の国産化を担うために作られた官営八幡製鐵所。ここで作られた鋼材が国会議事堂、東京駅などの建築に使われたと聞くと、まさに「日本の近代化を支えたのだな」と感慨深く思います。

 

 そうしたなか、2023年11月19日と23日、官営八幡製鐵所の見学ツアーが催行されました。所有企業である日本製鉄の協力により、日頃は立ち入ることができない構内へ入場し、「旧本事務所」などの登録資産を、抽選で選ばれた58名の方が見学したそうです。

 

 私もぜひ見学したいと思いましたが、気づいたときは応募の締切が過ぎていました。2024年も実施を検討中だそうですから、次回は私も応募するつもりです。

 

 その後も、国の基幹産業の一翼を担う製鉄所とはどんな施設なのか、純粋に興味をもっていたところ、ドイツの世界遺産である製鉄所を見学する機会をいただきました。

 

 官営八幡製鐵所は、ドイツの技術を採用して建造され、明治34年(1901年)、操業開始式がおこなわれています。直接技術を導入した製鉄所は現存していませんが、同時代に活躍した製鉄所が世界遺産として残されています。

 

 私が訪問したフェルクリンゲン製鉄所は、ドイツ西部、フランスとの国境に近い場所に、1873年に作られました。19~20世紀にかけて、西欧と北米に鉄を供給しつづけ、1986年に操業を停止するまで、欧州重工業の原動力となりました。

 

 第2次世界大戦末期、ドイツ国内のほとんどの工場が爆撃を受けたなか、この製鉄所だけはほぼ無傷で終戦を迎えました。それが「フェルクリンゲンの奇跡」と呼ばれ、操業当時の姿をそのまま残す世界唯一の製鉄所と言われています。

 

 1994年に世界遺産に登録されましたが、産業遺産としてはかなり初期に登録されたものです。

 

 フランクフルトから特急列車で2時間半ほど。近づくにつれ、その巨大さと間近に見る廃墟感に、ふしぎな胸の高まりを覚えました。驚くことに、見学ルートは全部回ると7km! 急いで回っても5時間はかかりそう。

 

 やたら大型の機械が並ぶブロワーホールや巨大な高炉6基がそびえる製銑エリア、珍しい斜行昇降機やヘルメットをかぶらないと見学できない約30メートルの高さがある炉口など、間近で見る存在感に、機械音痴の私でも、ただただ圧倒されるばかり。「工場萌え」という言葉の意味が、本当に理解できました。

 

 製鉄所を案内してくれた元従業員のフランツ・ゴンデル氏は、NHKTBSの世界遺産番組にも出演したという名物ガイド。「製鉄所を案内していて感動することはありますか?」と伺うと、「廃墟の間を力強く生えてくる植物の生命力」と話していました。

 

 実は、製鉄所の繁栄は、戦争捕虜や周辺国から連行された労働者を含む多くの人たちの過酷な労働によって支えられていました。そのため、フェルクリンゲン製鉄所は「労働のカテドラル」とも呼ばれています。

 

 世界遺産には、こうした影とも言うべき「負の遺産」もあるのです。官営八幡製鐵所、フェルクリンゲン製鉄所が私たちに語りかけるものはさまざまでしょうが、一生のうち一度は訪れるべき場所であるのは、間違いありません。

横井弘海

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

( SmartFLASH )

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