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柳生九兵衛氏が語る「コンビニおでん」おいしさの秘密…差別化のカギは“出汁”にあり
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.12.02 06:00 最終更新日:2022.12.02 06:00
セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソン「冬の定番グルメ」バトルが今年も開幕! 勝負のカギは滋味たっぷりの “つゆ” にアリ!
■隠し味、産地特産品 “ 洋風” にこだわる
「新型コロナウイルスが蔓延し始めたとき、各コンビニでは衛生面を考慮して、レジ横に鍋を置いたおでん販売を自粛した店舗もありました。同時にロスの問題もありました。おでんは時間がたつと廃棄せざるを得ない商品なので、特にリモートワークなどでお客さんが激減したビジネス街の店などは販売を中止せざるを得なかったのです」とはB級グルメ王でコンビニおでん探究家の柳生九兵衛氏だ。
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その後、鍋に透明のふたをして前面にパーティションを設置、おでん種は客から注文を受けた店員が手指の消毒や手袋をして取るなどの対策を講じて販売が再開された。
こうした万全の態勢のもとで「冬の風物詩」ともいえるコンビニおでんは販売されているのだが、各社、差別化が図りづらい商品でもある。そこでキモになるのは「出汁」なのではないだろうか。
1977年にコンビニおでんの先陣を切ったセブン-イレブンは全国8地域でおでんつゆの出汁を変えている。
「鰹節と昆布出汁をベースにした基本出汁に、今年は鰹節の厚削りを増量してうま味を向上させており、おでん具材を煮込むことでコクが深まりさらに美味しくなります」(広報センター)。今年は出汁をより美味しくするため、ちくわなど「味を出す具材」の強化もしているそうだ。
ファミリーマートは「東日本では鰹節の風味を利かせ、西日本では昆布の風味を利かせております」と広報部。原料は「焼津産鰹節」「枕崎産さば節」「長崎産いりこ」と厳選された食材を使っている。
「『つゆまで飲み干すだしおでん』のコンセプトはそのままに、味の厚みを強化することでつゆを飲んだときの満足感を向上させております」(ファミリーマート広報部)
前出の2社とは真逆に「出汁感とうま味をポイントに、全国統一の味わいにしております」と説明するのはローソンだ。
「出汁は2種類の鰹節を使って抽出。併せて香りと味わいが残る『うるめ節』も使っております。
うま味につきましては、ねぎと玉ねぎを炊き出してチキンとあさり、ホタテのうま味を加えております」(ローソン商品担当)。さらに、つゆとの相性にこだわった、3社で最多の29品のおでん種を展開している。
三者三様の工夫を凝らしているコンビニおでん。最後に柳生氏に、通ならではの、美味しく食べるちょい足しアイデアを聞いた。
「『さらにもうひと味ほしいな』というときはお好みで調味料を加えてください」
昆布茶、梅昆布茶、椎茸茶、ウスターソース、バター、鶏ガラスープ、コーレグース(島唐辛子を泡盛に漬け込んだ沖縄の調味料)、ナンプラー、オイスターソースなどをぜひ試してほしいという。
「はんぺんやこんにゃくなどにブルーベリーソース、バターをつけると美味しいですよ。味の染みた玉子にブルーベリージャムをつけたらすごく美味しくてびっくり」
知れば知るほど味わいたくなるコンビニおでんなのだ。
やぎゅうきゅうべえ
1968年生まれ 『TVチャンピオン』(テレビ東京系)の第4代、第5代B級グルメ王。名物おでん探究家、コンビニおでん探究家としても活躍
写真・福田ヨシツグ