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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』森保ジャパンに学ぶ「7つの習慣」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.12.19 17:00 最終更新日:2022.12.19 17:01
森保ジャパンが、優勝候補といわれていたドイツ、スペインに勝利し、一次リーグE組を1位で通過し、決勝トーナメント進出を決めました。残念ながら、先日のクロアチア戦で敗れ、ベスト8入りはなりませんでしたが、それまでの日本の歴史的勝利を「すごい!」「感動した!」だけで終わらせてはもったいない。そこで、一次リーグの3試合を観戦して気づいた森保ジャパンの「7つの習慣」を、私たちの仕事や日常の生活にも応用できるノウハウにまとめてお伝えします。
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■(1)目標を「言語化」して共有する
「言葉にしないと、伝わらない」。私の新刊『言語化の魔力』(幻冬舎)の重要なコンセプトです。スポーツのチーム、あるいは会社のチームや部署も同様で、何人ものメンバーがいるチーム、グループにおいては、言葉をかけ合うことで「目標」「ビジョン」「戦略」が共有されます。言語化によって共有できることで「同じ目標」に向かって一丸となる。チームワークがよくなり、協調性も高まり、互いの長所が掛け算されて、圧倒的な結果を出すことができるのです。
試合前や試合後の選手や監督のインタビューを見て思ったのは、みな「新しい景色を見る」という言葉を使い、「ベスト8以上」という「共通の目標」を語っていた点です。そして、ドイツ戦、スペイン戦の勝利の後は「今日は喜ぶけど、明日からはまたしっかりと準備していく」、コスタリカ戦敗北の後は「切り替えていく」と、選手の多くが、同じ言葉、同じ内容を語っていたのが、印象に残りました。
同じ言葉を使うということは、チーム内で意志疎通ができている証拠であり、目標や戦略が共有されていることの証拠でもあります。
■(2)目標は「ちょい難(むず)」に設定する
過去の優勝国ドイツ、スペインと同じ「死の組」といわれたE組から勝ち上がって決勝トーナメントへ進出。さらにはベスト8以上を目指すという目標は、「不可能」ではないものの「やや困難」な目標に思えます。
しかし脳科学的にみると、「やや難しい」目標を設定したからこそ、本来の実力以上の力を発揮し、ドイツ、スペインに勝利できたといえます。
人間は「ちょっと難しい目標」に取り組むときにドーパミンが、追いつめられたときにノルアドレナリンが分泌されます。ドーパミンやノルアドレナリンが分泌されると、集中力、判断力、記憶力が高まり圧倒的に脳が活性化します。わかりやすくいえば、スーパーマンに変身することができるのです。
重要なのは「簡単すぎる目標」や「無理な目標」を設定したときにはドーパミンは分泌されないということ。「ちょい難」の課題に取り組むときに、ドーパミンの量がもっとも多くなります。つまり、パフォーマンスが最大になるのです。
■(3)「追いつめられる」をチャンス! ととらえる
ドーパミンとノルアドレナリンの視点から、日本の戦いを振り返ってみましょう。
(1)一次リーグ初戦。死の組なので、勝ち点を取らないとヤバい。しかし、前半に1点先制されて、追いつめられた状況に……。
(2)第2戦。0−7でスペインに負けたコスタリカは与しやすくみえる。
(3)第3戦。混戦のなか、スペイン相手に、勝ち点3を取らないといけない。しかし1点先制されて、かなり追いつめられた状況に……。
(1)と(3)は日本にとって、ドーパミン+ノルアドレナリンが分泌されやすい状況です。しかし(2)は分泌されやすい状況とはいえず、むしろコスタリカのほうがその状況にあります。そして、その違いが結果に表われているともいえます。
ここからわかることは、追いつめられた状況、崖っぷちの状況におちいっても、絶対にあきらめてはいけないということ。このときドーパミン+ノルアドレナリンのおかげで、いつも以上の実力を発揮できる可能性があるからです。
ドイツ戦、スペイン戦とも、前半に1点先制されたものの、後半に2点を入れて逆転勝利。まったく同じ展開になっているのも偶然ではなく、いずれもドーパミン+ノルアドレナリンのなせるわざ。つまり脳科学的には必然なのです。