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90歳の精神科医、シュノーケリングにも挑戦する病院理事長は「朝いちばんに出勤、一日7000〜8000歩は歩く」【長生き医師の養生訓】
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.02.06 06:00 最終更新日:2023.02.06 20:14
人生の達人たちの健康の源は「驚異の好奇心」!90歳を超えても元気すぎる医師たちに、意外すぎる“養生訓”を聞いた。
取材当日、原寛医師は、自ら開院した原土井病院(福岡県福岡市)のロビーで記者を出迎えてくれた。
大型病院を中核に、歯科や看護専門学校、約20の介護施設を経営する原医師。元黒田藩医の由緒ある家系だが、意外なほどのフレンドリーな笑顔に、場の空気が和らいだ。
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「私はコーヒーが好きで、食後や仕事で疲れたときの一杯が、リフレッシュになっているんです。ポリフェノールは、健康にもいいですしね!」
年齢を重ねるとカフェイン分解排出機能が衰えるというが、原医師の胃は健康だ。理事長室へ向かう足取りは軽く、階段を駆け上り、記者はついていくのも大変だった。原医師は息切れする様子も見せず、こう続ける。
「私は毎朝、いちばんに出勤し、病院の内外を歩いてすべてチェックします。一日7000〜8000歩ほどは歩いています。昔から続けていますので、それがいい運動になっているのかもしれません。おかげで、膝や腰が痛いなどということはありません」
ちょうど時間はお昼どき。原医師は、職員が利用する食堂に案内してくれた。
「糖質を摂りすぎないようにしています。玄米や白米なら麦を入れて、タンパク質もしっかりと。安くてどこでも手に入る納豆や卵をよく食べます。食べる順番は、野菜→おかずや汁物→ご飯(炭水化物)の順番にしましょう」
さらに原医師は、日本に元気で魅力的な高齢者を増やすための活動に力を注ぐ。
「医療の進歩によって、平均寿命が延びたことは素晴らしいのですが、じつは75歳くらいからフレイル(加齢によって運動・認知機能が低下し、健康障害を起こしやすくなる状態)で、“健康・自立”できない方が非常に多いのです。
介護が必要になると、医療費も膨らんでしまいます。元気な高齢者を増やし、楽しい生活を送ることができるようにすることが、私のライフワークです」
活動を始めたきっかけは、故・日野原重明医師の存在だった。
「日野原先生は『新老人の会』を作り、新しいシニア世代の生き方を提唱しました。会の海外支部を作るため、先生と海外視察に行ったことはいい思い出です。その教えを引き継いで『元気100倶楽部』を立ち上げ、“健康寿命100歳”を呼びかけています」
原医師から、写写丸世代へ伝えたいことがある。
「40〜50代は体形が変化し、太りやすい時期です。最初はわずかな体重増加でも、生活をあらためずにいるとメタボリックシンドロームから生活習慣病、そしてその後に深刻な病気に繋がります。
ふだんの生活のなかで階段を使う、食事は野菜から食べるなど、できることから実行してほしいと思います。もちろん、たまにはお酒もいいでしょう。その際は、適量ではなく少量を心がけてください」
原医師は、2018年には沖縄の海でシュノーケリングを楽しんだという。
「水泳は長く続けていましたし、新しいことに挑戦することは楽しかったですね。コロナ禍が終わったら、またシュノーケリングに挑戦したいです」
原寛医師
1932年生まれ 九州大学医学部卒業。1967年、原土井病院を設立。高齢化社会のための「養生学」に取り組んでいる。近著に『令和の養生訓』(ICI刊、秋野公造参院議員と共著)
取材&文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)