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ニュースで急増する謎ワード「JPCZによる大雪が…」気象予報士・森田正光さんも驚き「こんな専門用語がテレビに出るなんて」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.22 20:07 最終更新日:2022.12.22 20:21

ニュースで急増する謎ワード「JPCZによる大雪が…」気象予報士・森田正光さんも驚き「こんな専門用語がテレビに出るなんて」

「『JPCZ』という用語を、私自身は以前から番組で使っていたんですが……」(森田さん)

 

 2022年末、日本は大寒波に見舞われている。新潟県や東北南部では、多いところで積雪が平年の2倍以上に達している。

 

 渋滞や停電も発生し、車中で暖を取っていた女性が一酸化炭素中毒で死亡する事故も起きているが、一連の災害報道では「JPCZが停滞」「JPCZによる記録的大雪」などと聞き慣れない言葉が連呼されている。いったい「JPCZ」とはなんなのか、気象予報士でウェザーマップ会長である森田正光さんに聞いてみた。

 

 

「JPCZとは、『日本海寒帯気団収束帯』のことで、大陸から寒気が流れ込んでくるときに、朝鮮半島の白頭山で二方向に分かれた風が日本海で再び集まり(収束し)、発達したゾーンのことをいいます。英語ではJapan sea(日本海)Polar air mass(寒帯気団)Convergence(収束)Zone(帯)と書き、その頭文字を取ったものです」(森田さん、以下同)

 

 日本経済新聞社が運営する新聞・雑誌記事データベースによると、最初にメディアに登場したのは2014年12月だから、まだ10年も経っていない。しかし森田さんは、かなり昔から使われてきた気象用語だと語る。

 

「JPCZという用語自体は、気象庁の予報官だった岡林俊男さんが、1969年に初めて提唱したものです。メディアではこれまで、同じ意味の『線状降雪帯』がよく使われてきましたが、それよりも古い用語ですね。

 

 昔からあった言葉が新たに市民権を得たという点では、『ゲリラ豪雨』と似ています。ゲリラ豪雨も1970年ごろからあった用語ですが、2008年に『新語・流行語大賞』のトップ10に入って定着しました」

 

 JPCZという用語は、日本国内だけで通じるものだという。

 

「もともと、『ITCZ』という言葉が先にあったんです。これは熱帯収束帯(Intertropical Convergence Zone)、つまり台風ができる場所のことです。それにヒントを得て、岡林さんが名付けたんです」

 

 JPCZは歴史ある気象用語で、気象予報士の間では、当たり前のように使用されてきたものだったのだ。では、なぜ近年になって天気予報番組で多用されるようになったのか。

 

「『JPCZ』は1年間に数回から10回ほど現われ、現象としては珍しいものではありません。私自身は、以前から番組でも使ってきました。急にテレビで広まったのは、視聴率の高い番組で使われたことがきっかけかもしれません。こんな専門用語が、普通に使われるようになるとは、おもしろい話ですねえ」

 

 JPCZが発生するのは山陰から東北までだが、そこに風などさまざまな気象条件が重なって、今回は北陸に豪雪を降らせた。大きな被害が出たことで、JPCZという用語が繰り返し報道される事態になった。

 

「今年は、日本海の水温が例年より2度くらい高いんですよ。水蒸気の量が増えて雲が大きくなるため、大雪になるのです。12月26、27日ごろからもう一回、4日間くらい豪雪となるでしょう。

 

 一方、来年1月になると海水温が下がって水蒸気が減りますので、JPCZが発生しても降雪量は今回ほどにはならないかもしれません」

 

 豪雪の被害が拡大した結果、JPCZが流行語になるのは勘弁してほしいが――。

( SmartFLASH )

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