社会・政治
米中「気球」攻防戦に水を差す「中国と関係なかったかも」のトホホ…日本ではドローンも撃墜可能に
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.18 20:56 最終更新日:2023.02.18 21:03
アメリカと中国の間に起きている「気球騒動」。米軍は2月4日に1つの気球を、10~12日にかけて3つの飛行物体を撃墜したが、ここにきて、そのうちの一つは「中国のものではない」可能性が浮上している。
ことの発端は、2月2日、中国の偵察用気球とみられるものが、アメリカ本土の機密施設の上空付近を飛んでいるのが確認され、追跡中だと国防総省が明らかにしたことだ。当局は「高高度監視バルーンは中国のものだと確信している」とした。
【関連記事:日本は撃墜できない「中国スパイ気球」実情と真意、撒かれたのは「GPSつきピンポン球」】
「中国は、3日になって気球が中国のものだと認めました。ただ、この気球は気象研究に使用される民間のものだとし、『意図せず米領空に入ったことを遺憾に思う』と謝罪に近い説明をしました。
アメリカは4日になって気球を撃墜。米紙『ワシントン・ポスト』によれば、この気球は中国空軍のもので、海南島の基地から離陸後、太平洋を東に向かうルートのなかで風に流され、意図せずアメリカまで到達した可能性があるとしています。
中国側は『過剰な反応だ』とアメリカの対応に強く反発し、逆にアメリカの偵察気球が中国に2022年から十数回も飛んできたと主張し始めました(アメリカは否定)。
その後、アメリカは10日から12日にかけて、アラスカやヒューロン湖上空などで、計3つの飛行物体を撃墜したと発表。ただ、ややこしいのですが、これら3つに関しては、商業目的や研究用の気球だった可能性もありうると説明しているんです。
実際、2月17日の『CNN』は、米イリノイ州を拠点とするアマチュア愛好団体の気球が、アラスカ上空で行方不明になったと報じています。米中で気球をめぐる “攻防戦” が繰り広げられるなか、事態は混乱の一途をたどっています」(週刊誌記者)
一方、日本でも謎の気球がたびたび目撃されてきた。朝日新聞によれば、気球は、2019年11月に鹿児島県、2020年6月に宮城県、2021年9月に青森県の上空で確認されたほか、2022年1月に九州西方沖で確認された事例もあるという。防衛省は「中国の無人偵察用気球であると強く推定される」と発表している。
では、日本で再び気球が見つかった場合、今後はどのような対応を取るのか。
「自衛隊法84条で、外国の航空機が領空侵犯した場合、必要な措置を取れると規定しています。また、自衛隊法82条には『破壊措置命令』があり、『人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる』場合、ミサイルなどを破壊できるとしています。
政府としては、これまで領空侵犯に対する武器使用は『正当防衛』と『緊急避難』に該当する場合のみ許されるとしていたため、気球が飛来しただけでは撃墜できないとする意見も根強くありました。
しかし、2月16日、それ以外の場合も撃墜できるよう、基準を見直しました。浜田靖一防衛大臣の17日の会見によれば、無人気球だけでなく、無人機(ドローン)も撃墜の対象になるとしています」(同)
今回の騒動で、安全保障をめぐる議論がまた進みそうだ。
( SmartFLASH )