新型コロナウイルス感染拡大によって活動を休止していたサッカー日本代表は、2022年「カタールW杯」のアジア予選に向けて活動を再開した。2020年10月5日より、オランダ合宿を実施。現地で同9日にカメルーン代表、同13日にコートジボワール代表と国際親善試合をおこなう。
今回、招集されたメンバーは、新型コロナウイルス感染予防による入出国規制などの影響で、すべて欧州のクラブに所属している。代表選手全員が欧州のクラブ所属というのは、史上初めてのことだ。
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「強豪国の代表選手の多くは、欧州5大リーグ(ドイツ、イングランド、スペイン、イタリア、フランス)、もしくはそのひとつ下のレベルにあたるオランダ、ポルトガルなどのリーグでプレーしています。
日本人選手は5大リーグにそれほど多くいませんが、Jリーグよりも実力が上の欧州のリーグを主戦場にするレベルでなければ、代表に選ばれるのは難しいでしょう。
今回はコロナ禍とはいえ、今後も『すべての選手が欧州クラブ所属』という日本代表チームが続く可能性は、十分あるでしょう」(サッカーライター)
全員が欧州組ということで、巷では「日本代表史上最強」という声が聞かれる。はたして、本当にそうなのか。
「もうサッカー選手が終わったので、好きなことを言っていいのであれば、(日本と世界のレベルの差は)正直、広がったなと思う」
元日本代表の内田篤人(32)は8月24日、オンラインでの引退会見に臨み、日本と世界のレベルの差について聞かれると、こう吐露した。
内田が言う「差」とは何か。ひとつの指標として参考になるのが、ドイツのサッカー移籍情報サイト『トランスファーマルクト』が算出している、世界各国のサッカー選手の「市場価値」だ。欧州のチーム関係者も、これを資料のひとつとして活用している。
欧州5大リーグはもちろん、世界各国のリーグに所属する選手の市場価値が載っており、JリーグもJ3の選手まで数値化されている。J1を中心に、数多くの選手を担当するJFA登録仲介人の松浦修也氏は、こう言う。
「一人ひとりのプレーを見るのではなく、所属チーム、所属リーグ(国)、プレー時間、年俸、違約金の設定額、年齢などをシステマチックにはめ込んで、市場価値を計算していると思います。
久保(建英)は、まだ19歳と若く、いまはビジャレアルにレンタル移籍していますが、保有権は世界有数のビッグクラブであるレアル・マドリードにありますから、市場価値は上がり、日本人選手でトップなのは当然だと思います」
「対して5位の南野拓実(25)も、リヴァプールとビッグクラブ所属ですが、2019年シーズンのプレー時間の少なさから、市場価値は低くなっているのでしょう」(同前)
同サイトで日本代表の「市場価値」を見ると、1位の久保は3000万ユーロ(約37億1000万円)。その久保から10位の奥川雅也までの市場価値を足すと、1億780万ユーロ(約133億5000万円)となる。
一見高いように見えるが、今回の欧州遠征で対戦するカメルーンや、コートジボワールの代表クラスの選手と比較してみると、差は歴然である。
カメルーン人選手の上位5人、コートジボワール人選手の上位3人を足しただけで、それぞれ1億1200万ユーロ(約138億5000万円)、1億1600万ユーロ(約143億5000万円)と、日本人選手のベスト10の合計を軽く超えてしまうのである。
また、内田が前出の引退会見で語っていた「(欧州)チャンピオンズリーグ(以下、CL)決勝とJリーグの試合を見ると、違う競技だなというくらい、僕の中では違いがあります」といった意見にも、このサイトの数値を見ると、納得せざるを得ない。
CLで優勝したバイエルンの選手の市場価値総額は、約8億3700万ユーロ(約1035億4000万円)。2位のパリ・サンジェルマンは約7億8400万ユーロ(969億8000万円)。これに対し、現在Jリーグで無類の強さを発揮している川崎は、約1880万ユーロ(約23億3000万円)にしかならない。
「我々は、このサイトを、あくまでも資料のひとつとして見ているだけで、これがすべてとは思っていません。日本と強豪国の選手個々の市場価値は、大きく差が開いているし、実力差もあるかもしれません。
でも、チームとして戦うときは話が別。ロシアW杯で日本が市場価値で格上のコロンビアに勝ったことが、それを物語っています」(松浦氏)
次のページでは、『トランスファーマルクト』が算出した、日本人の「市場価値ランキング」を紹介する。