堂安律が日本を救った――。
12月1日、W杯予選リーグでスペインに逆転勝利を決め、決勝トーナメント進出を決めた日本代表。“2度目の奇跡” は、堂安が放った同点ゴールから始まった。まるで、逆転ののろしをあげるようなゴールに、日本中が歓喜の声をあげた。
堂安はドイツ戦でも後半26分に途中出場し、同点弾を決めている。インタビューでは「俺が決めるっていう気持ちで入りました」と強気な発言をしている。
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スペイン戦後のインタビューでも、「あそこは、俺のコース。あそこで持てば絶対に打ってやると決めていたので、思い切ってうちました」と、ビッグマウスを炸裂させた。
悲願としている「ベスト8」について聞かれると、「優勝しか考えてない」と一言。その自信の源を探るべく、本誌は故郷・尼崎を取材した。
サッカースクールで、小学校時代から堂安を指導していた早野陽さん。現在は西宮市で、サッカースクール「フエゴ」を運営している。
「彼は、これからも『優勝が目標です』と言い続けると思います。目指すところは頂点しかないんです。プロになっても、プロで一番になるんだと、そんな負けず嫌いなところがあるんですよ。
強気で負けず嫌いな性格は、サッカーをやっていた2人のお兄ちゃん、特に2歳上の憂さんの存在が大きいと思います。兄についていってサッカーを始めたものの、最初はお兄ちゃんには勝てない。なんとか勝ちたい、勝ちたい、負けたくないというのが、彼の原点です」(早野さん)
負けず嫌いの小学生だった堂安に、早野さんが言い聞かせたのが「一番になれ」という言葉だった。徹底して言い聞かせたという。
「当時から、Jリーグのチームよりも世界で一番のチームを目指したほうがいいやん。日本一の選手より世界一の選手のほうがいいやん、と納得させていました。
日本で一番になって満足しても、世界一にはなれへんよと。日本一になってもそれは『通過点』にしなさいとも言ってました」
堂安のサッカー人生に大きな影響を与えた兄・憂さんにも話を聞くことができた。元Jリーガーでもある憂さんは、現在、尼崎の地域貢献もかねたサッカースクールを立ち上げている。スペイン戦のゴールは「うるっと来るものがあった」と明かした。
「試合直後に直接話すことはできなかったんですが、LINEで『ナイスゴール! よかったな!』と送ると、『やったったわー!』って(笑)。『日本国民を笑顔にできたわー!』とも返ってきました」
今大会の活躍については、こう教えてくれた。
「小学生のころから、大事な試合の大事な場面で、点を取らなかったことがなかったんですよ。それはもう、彼が持って生まれたものと言うしかないですね」
6日にクロアチア戦を控えるが、憂さんはこうエールを送る。
「やるからには優勝を目指してほしいんで、『どこまで』ではなく、『優勝』までがんばってほしいと思います」
やはり、兄も優勝しか見ていなかった!
( SmartFLASH )