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快進撃・翠富士が親方に「引退」を漏らした日 母親に楽をさせるための「区切り」を思いとどまり単独トップへ
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.22 21:50 最終更新日:2023.03.22 21:50
横綱、大関不在の大相撲春場所。賜杯争いは三役、平幕入り乱れて混沌としているが、注目は11日目(3月22日)に東の小結・若元春に敗れて1敗を喫したものの、単独トップを突っ走る小兵の西前頭5枚目・翠富士(26・伊勢ヶ濱部屋)だ。
「得意の肩透かしは、相手に研究されてなかなか繰り出せませんが、さまざまな奇手を繰り出し、観客をわかせています。10日目には『割り出し』という珍しい決まり手で勝っています。明るい性格の愛されキャラです」(大相撲担当記者)
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静岡県焼津市出身。幼いころに両親が離婚し、母親がひとりで頑張り、育てた。相撲との出会いは小学校のときだ。
「小学校、中学校の相撲大会で好成績を収め、名前が知られるようになりました。高校は、大相撲力士を何人も輩出している、沼津市の私立飛龍高校。高校の全国大会では、いまの貴景勝を破っています。
高校卒業後は、近畿大学に進学して相撲部に入り、1年生のときに体重別の全国選手権で優勝しましたが、2年生で退学。地元に帰りました。そのときに、伊勢ヶ濱親方が訪れてスカウトし、入門しました。初土俵は2016年9月場所で、同部屋の錦富士は、近畿大学の同級生です」(スポーツライター)
そんな翠富士だが、入門後に一度だけ、伊勢ヶ濱親方に「引退」を申し出たことがあるという。
「自分の中で『入門して3年で十両に上がれなければ、引退しよう』と思っていたそうです。十両にならなければ“給料”がもらえません。母親に楽をさせたい、という気持ちが強かった翠富士ですから、自分なりに区切りをつけていたのでしょう。2019年、十両に上がれなかったことから、親方に引退を切り出したそうです」(スポーツライター)
しかし親方は「やめて何をするんだ」と問いつめた。翠富士は答えに窮し、親方や兄弟子・照ノ富士の説得もあり、引退を思いとどまったという。
その後は十両優勝も経験し、幕内で活躍。今場所での活躍につながっている。快進撃のなか、翠富士は「あのとき、やめなくてよかった」と思っていることだろう。
( SmartFLASH )