MLBが2023年シーズンから導入した新ルール「ピッチクロック」。投手はボールを受けてから、走者なしでは15秒、走者がいる場合は20秒以内に、投球モーションに入らなければいけない。これを超えた場合は「1ボール」がペナルティとして与えられる。打者も、クロックの残り8秒までに構えることが求められ、違反すると「1ストライク」のペナルティとなる。
米国では、若い世代の「ベースボール離れ」が深刻で、その要因のひとつが「試合時間の長さ」とされている。そのため、試合時間の短縮を目的として導入されたものだ。
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その効果はてきめんで、2022年シーズンにはMLBの開幕4日間の平均試合は3時間9分だったが、2023年は2時間38分と、31分も短縮された。ペナルティが頻発されることも危惧されたが、50試合を終えた時点で40回、つまり1試合平均0.8回となっている。
これらのデータを紹介した米スポーツ専門局ESPNのジェフ・パッサン記者のツイートには、さまざまなコメントが寄せられ、
《いいことだと思うけど、ゲームが急ぎ足に見える》
《これは野球じゃない。打者も投手も焦っている。馬鹿らしい》
などの批判的意見も少なくない。ただ、「新ルールをどう思うか」を尋ねたアンケートのツイートには、8割以上の人が「Like」と好意的な票を投じている。
この「ピッチクロック論争」は、日本にも飛び火。SNSでは、日本のプロ野球にも導入すべきか否かで、意見が分かれている。否定派の意見は
《たしかに試合時間は短縮するだろうけど野球の中の大切な時間が削がれてるように感じてしまう 選手もストレスだろうけど観てる側もなんか常に時計が目に入っちゃって落ち着かない》
《ピッチクロックやめろ。野球の醍醐味である打者とバッテリーの駆け引きがなくなる》
《ピッチクロックや無駄な時短こそ全くいらん 「野球」は駆け引き含めた間を楽しむスポーツ この醍醐味分からん奴は野球ファンじゃない》
対して、肯定派は
《だめだ、メジャーのピッチクロックに慣れてしまって日本の野球のテンポの悪さにイライラする。ピッチャーもバッターもちんたらすんな》
《ピッチクロックいいね プロ野球はチンタラしすぎ》
《WBCも次回から導入される可能性がある。日本両リーグでも早く導入して、日本選手も早く慣れたほうが良いように思う》
などの意見だ。全体としては、否定派がやや優勢といったところだろう。
日本では、社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)が、2023年から「スピードアップ特別規定」を導入。投手はボールを受け取ってから12秒以内に投球動作を開始しなければいけない、などの「ピッチクロック」を取り入れた。これが、プロ野球にまで及ぶかどうかは、いまだ不明だ。
なお、NPBの発表によると、日本のプロ野球の平均試合時間は、セ・リーグが3時間14分、パ・リーグが3時間13分となっている。おもしろい試合なら、長さも気にならないはずだが……。
( SmartFLASH )