まだ襟足もない「ざんばら頭」が、早くも番付の最上段に到達する――。
2023年1月の初場所で、特例の幕下付出でデビューした落合哲也(19)は、同場所を全勝優勝すると、わずか1場所で十両に昇進。
そして、五月場所は西十両八枚目で14勝1敗の成績を残したことで、遠藤に並ぶ史上最速の所要3場所、名古屋での七月場所からの幕内昇進が確実となっている。
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「2年連続で高校横綱に輝き、卒業後は父親の会社に所属して実業団相撲へ。そこでも、19歳で全国優勝。
争奪戦の末に宮城野親方(元横綱・白鵬)の弟子として、角界入りしました。
快進撃から “令和の怪物” と呼ばれています。体の大きさによるパワーとスピードだけでなく、四つ相撲が取れる。宮城野親方も『相撲を知っている』と絶賛しているそうです」(相撲記者)
来場所からは、四股名を「伯桜鵬(はくおうほう)」にあらためる落合。「伯」の字は地元・鳥取県倉吉市が、かつて「伯耆国(ほうきのくに)」だったことが由来だ。
倉吉を離れて、強豪相撲部で知られる鳥取市立西中学校に進学した。落合の中学3年間で学年主任を務めた中尾ひとみ先生はこう語る。
「生徒たちも教員も『テツ』と呼んでいました。方言で言う『ぼっこい(きつい、乱暴な)』感じではなく、優しい子でしたよ。合唱コンクールのときも、クラスみんなを盛り上げてがんばっていました。
相撲部の生徒をたくさん見てきましたが、テツが1年生のときは、体の大きさのわりに、給食をそんなに多く食べていないな、と思っていたんです。
でも、学年が上がるにつれて量は増えていきました。1年のころまでは、相撲に対する闘志がそこまで湧いてなくて、だんだんと本気になっていったんじゃないかと思います」
落合本人も、昔の “根性なし” ぶりを明かしていたそう。
「中学3年で少年相撲の親善大会『白鵬杯』に優勝したとき、地元・成徳地区の公民館の広報誌で、落合くんがそれまでの歩みを自ら語っていました。
中学校で初めての本格的な稽古で相手にぶつかられ、『ゴーン』という音とともに、頭に大きな衝撃を受けたそうなんです。そのときは恐怖で、体がフリーズしたような状態だったと明かしていました。
小学4年生のときにも、鳥取に遠征に来た同世代のわんぱく相撲チャンピオンに吹っ飛ばされて、逃げまわったことがあったそう。“怪物”といわれる出世ぶりの彼でも、そんな泣き濡れた過去があったんですよね」(地元住民)
その後の華麗なる経歴に “物言い” がつくことはないはずだ。