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【坂本冬美のモゴモゴモゴ交友録】原 辰徳さんーー阪神に完封負けの夜、虎ファンに太っ腹な “神対応”
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.08 06:00 最終更新日:2022.10.10 15:54
誤解が生じないように、初めにお断わりしておきます。わたし坂本冬美は、阪神タイガースの大、大ファンです。
伝説となった三番バース、四番掛布、五番岡田のバックスクリーン3連発に胸を躍らせ、21年ぶりのリーグ優勝に続く、初の日本一に拳を突き上げ、ご指名をいただいた阪神甲子園球場での始球式では、マウンドに仁王立ち……もう、頭のてっぺんから足の爪先まで、ずぶずぶの阪神ファンです。
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そんなわたしが、初めて原辰徳さんとお会いしたのは、近所のお鮨屋さんでした。といっても、大将を慕ってすごい方々が集まるお鮨屋さんではなく、お弟子さんが開いたカウンターだけの静かで、こぢんまりしたお店です。
例によって、わたしの横には、(藤)あや子さんがいて。2人とも箸が転んでもおかしいという年齢は、とうの昔に過ぎたはずなのに、どーでもいいことをネタに大笑い。一度火がついた笑いの勢いは、とどまるところを知りません。
握ってもらったタコを頬張りながら「このタコ、美味し~~~っ!」「やっぱり、お鮨はタコよねぇ」「タコをもう一丁!」「タコに始まり、タコに終わる。これが、通の食べ方よねぇ」……などなど、口から出るのはタコ、タコ、タコのオンパレード。2人でタコを連発しながら、大騒ぎをしていました。
と、そのときです。
「楽しそうだねぇ~」
すぐ隣の席から甘く、涼しげな声が飛んできました。
「すみません、うるさくて」
ふっと見上げたその先にいらしたのが……阪神ファンにとっては、最大の天敵(笑)、読売巨人軍の原辰徳監督。その横では、素敵な奥様が微笑んでいらっしゃいました。
あらまぁ、わたしとしたことが。どうしましょう? あとで知ったことですが、この日、巨人はデーゲームで阪神に0ー3の完封負け。つまり、3タコで敗れたわけです。
あぁそれなのに、タコを連発するなんて。穴を掘って掘って掘りまくり、地球の反対側に出ちゃいたいような気持ちです。
しかもです。関西人でありながら、巨人愛を貫く弟と姪のために、思わず「サインをいただけますか」と口走ってしまって。恥ずかしいことこの上なしです。
それに比べて、原監督はどこまでも紳士で、太っ腹でした。わたしが着ていたTシャツに、サラサラとペンを走らせ、最後は握手までしてくださって。翌日の試合は、ちょっとだけ浮気をして、巨人を応援していました。
ーーえっ!? 巨人ファンといえば、あや子さん?
それがですねぇ。今でこそ、熱烈な巨人ファンを公言するあや子さんですが、あのころは、むしろサッカーに夢中で。原監督からサインをもらうわたしを醒めた目で見ていたような……モゴモゴモゴ。
当時のあや子さんのお気に入りは、キャッチャーの小林誠司選手。推しの理由はイケメンだからに決まっています(笑)。そして現在は岡本和真選手。理由はモゴモゴモゴ……。
わたしのイチオシは、阪神では梅野隆太郎捕手。阪神以外だと、全打席フルスイング、福岡ソフトバンクホークスのギータこと、柳田悠岐選手。それと……快くサインをくださった、原辰徳監督も大好きです(笑)。その節は、たいへん失礼いたしました!
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋