THE ALFEEのお三方とは、これまでに何度かテレビなどで共演させていただいていますが、桜井賢さん、坂崎幸之助さん、高見沢俊彦さんお一人お一人とも、不思議なご縁で繋がっています。
まずは、おヒゲとサングラスがトレードマークで、とってもダンディな桜井賢さんです。
あれは、2003年に4月に始まった日本テレビの『エンタの神様』に出演させていただいたときのことでした。
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ーーまさかとは思うけど……お笑いに挑戦した?
いえ、いえ。さすがに、それはないです(笑)。“総合エンタテインメント番組”として始まった『エンタの神様』は、当初お笑いだけではなく、歌のコーナーもあって。森山直太朗さんやカールスモーキー石井さん、本田美奈子.ちゃんも、番組で歌を披露していた記憶があります。
わたしがオファーをいただいたのは、埼玉・秩父市荒川の清雲寺にあるしだれ桜の前で、『夜桜お七』を歌ってほしいというものです。
もちろん、お断わりする理由はありません。清雲寺のしだれ桜は“日本一”という人もいるくらいで、そりゃもう、見惚れてしまうほど見事でした。
で、このお寺……清雲寺で総代を務めていらっしゃったのが、ナント、桜井さんのお父様だったんです。なんとも不思議なご縁です。
坂崎幸之助さんとのご縁は、タイトルをつけるとすれば、“飴で結ばれた、大人同士の密やかなご縁”ということになるでしょうか。
始まりは、坂崎さんのラジオ番組に呼んでいただいたときのことです。「坂本さん、僕も飴を口の中に忍ばせているんですよ」というのが、坂崎さんの第一声でした。
ごめんなさい。知らない人にはなんのことか、ちんぷんかんぷんですよね。
10年!? いや、20年くらいになるでしょうか。喉の乾燥を防ぐため、本番前に小っちゃなのど飴をほっぺたの凹みに忍ばせていて。その話をどこかでお聞きになった坂崎さんが「芸能界、いろんな人がいますけど、飴を忍ばせているのは僕と坂本さんだけだと思います」と、嬉しそうに目をぱちくりされていました。
でも……。坂崎さんには話していませんが、じつはもう一人、飴を口に忍ばせて歌っていた先輩がいらっしゃいまして。お聞きした話では、ちあきなおみさんもそうだったみたいです。なんだか、嬉しくなっちゃいますよね。
さぁ、そして最後のお一人、 “王子” こと、高見沢俊彦さんと最初に共演させていただいたのは、フジテレビで放送されていた『堂本兄弟』です。
高見沢さんのギターで『夜桜お七』を歌わせていただいたんですけど、それがもう、めちゃめちゃカッコいい。同じ音のはずなのに、高見沢さんが奏でる音には、高見沢さんの人柄と味わいが滲み出ていて、夢のようなひとときでした。
その後で、高見沢さんが『夜桜お七』をカバーしてくださったんですけど、その歌と映像が最高に刺激的で……。和服をラフに羽織った高見沢さんが、ギンギンに奏でるヘビメタアレンジは、もう体の奥までジンジンに痺れました。
「わたしはなんて素敵な歌を歌っていたんだろう」
あらためて、そのことに気づき、同時に、
「こんなすごい歌が、わたしの歌なんだ」
と、心の中で「ありがとう!」って叫んでいました。
さかもとふゆみ
1967年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、著書『坂本冬美のモゴモゴモゴ』(小社刊)が発売中!
写真・中村 功
取材&文・工藤 晋