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『君が心をくれたから』山田裕貴が臭すぎて興醒め…「泣かせ」に来るなら感情移入できるストーリーを!

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.01.15 11:00FLASH編集部

『君が心をくれたから』山田裕貴が臭すぎて興醒め…「泣かせ」に来るなら感情移入できるストーリーを!

 

 期待して視聴した第1話。しかし、「泣かせ」に来ているのが明白で、いまいちハマれなかった。

 

 先週スタートした月9ドラマ君が心をくれたから』(フジテレビ系)のことである。

 

 主人公・逢原雨(永野芽郁)が、10年前の高校時代に心を通わせていた2歳年上の先輩・朝野太陽(山田裕貴)と再会するも、彼に降りかかった悲惨な運命を覆すため、自分の五感を差し出すというファンタジーラブストーリー。

 

 1990年代に大ヒット恋愛ドラマを数多く生み出した月9枠の新作ということで、往年の没入できるラブストーリーを期待していたのだが……。

 

 

■主人公が受け入れた過酷な提案とは?

 

 第1話は、雨が26歳となって故郷・長崎に戻った現在のストーリーをベースに、要所要所で10年前の雨が高1だった時代のエピソードが挿入されるという構成。

 

 自信が持てず暗い性格の雨は、高校時代は周囲から “ザー子” と呼ばれバカにされており、友達を作らず他人と関わらないように生きていた。そんな雨を花火大会の日に偶然見かけた太陽が、学校で彼女に声をかけるようになり、惹かれ合っていく。

 

 太陽は家業の花火師の修業を積む決意をし、10年後の大晦日の花火大会で自身が作った花火を一緒に見ようと、雨と約束。高校卒業後は東京と長崎で離れ離れになっていたが、約束から10年後となった大晦日の花火大会で再会する。

 

 感動の対面となったが、その直後、太陽は交通事故に遭ってしまう。瀕死の太陽を発見した雨が絶望していると、「あの世からの案内人」を名乗る謎の男(斎藤工)が現れ、「奇跡」と称する過酷な提案をする。

 

 それは雨の視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚をひとつずつ奪っていき、3カ月かけて五感すべてを失う代わりに、太陽の命を助けるというものだった。

 

 第1話は雨がその提案を受け入れ、太陽の命が助かるまでが描かれた。

 

■山田裕貴の言動はキャラが臭すぎる

 

 本作ではこの提案によって雨が五感をひとつずつ失っていくことが本筋のため、第1話は言わばプロローグ。描きたいのは第2話以降のストーリーだと思うので、初回を観ただけで作品全体の評価は下せない。

 

 とはいえ、連続ドラマの場合、第1話だけ観て脱落する人も多いので、最初に視聴者の心を掴めるかどうかは重要だ。

 

 そういう意味で言うと、筆者は第1話でいまいちハマれず。SNSでの否定派意見を見ると、主人公が暗すぎることやストーリーが重すぎることなどをあげる人が多かった。

 

 ただ、筆者は『高校教師』(1993年/TBS系)のような鬱々とした恋愛ドラマも好きだったので、そこは気にならなかったのだが、太陽の振る舞いやセリフが臭すぎて、興醒めしてしまうシーンがいくつかあって没入できなかった。

 

 高校時代、川の上で太陽が雨を抱きしめて、「思ったんだ。君を幸せにする花火を作りたいって」と伝えたシーンはサムいなと思ってしまった。

 

 また、現代の花火大会で遠くにいる雨を発見したシーンで、雨に気づいてもらうため、太陽は爆竹に火をつけて投げ放つのだが、人混みであふれ返っている状況なので、かなり危険かつ非常識に感じて感情移入できなかった。

 

 いちばん引っかかったのが、高校時代にゲリラ的な校内放送をした太陽が、生徒全員に「だからみんなに宣言します。俺は一人前の花火師になります」と話した後に、雨ひとりに向けて語った次のセリフ。

 

「そう思わせてくれたのは、他の誰でもない、君がいたからです。だから君には価値がある」

 

「だって、だって俺の人生を変えてくれたから。雨はこの世界に必要だよ」

 

 雨個人へのメッセージまでわざわざ校内放送で言うことかと疑問だったし、観ているこっちが恥ずかしくなった。

 

 太陽ほどひどくはないが、こういう類の男は現実に存在している。一見すると相手女性のために見える言動が、実は自身に酔っているだけというタイプだ。

 

 劇中の太陽は本当にいい奴なのだろうが、一連の言動が自己陶酔男と重なってしまったのである。

 

■理由づけがフワッとしていて軽すぎる

 

 また、太陽が雨に尽くす理由づけが弱いとも感じた。

 

 たとえば第1話終盤、宇多田ヒカルの主題歌をバックに太陽が雨に一目惚れするシーン。ドラマティックな演出になってはいたものの、きっかけがなんだか雑で、顔が好みだっただけなんじゃないかと穿った見方もしてしまった。

 

 太陽は雨に過剰なほど一生懸命に接しているのだが、その重さに比べて理由づけがフワッとしていて軽すぎるのだ。脚本として考えると、動機が弱いわりにセリフで強引に感動させようとしていることが、太陽の言動の “臭さ” につながっているのかもしれない。

 

 要するに力技で「泣かせ」に来ている感じがして冷めてしまったのだ。

 

 誤解なきようお伝えしておくと、「泣かせ」に来ている脚本や演出が必ずしも悪いわけではない。

 

 大ヒットした恋愛ドラマ『silent』(2022年/フジテレビ系)も、ガッツリと「泣かせ」に来ていたが、泣きどころとなるシーンやセリフに至るまでの理由づけがていねいに描かれていたため、自然と没入できた。

 

 ――今夜放送の『君が心をくれたから』第2話では、雨の五感のうち、まずは味覚が奪われる展開になるようだ。「泣かせ」に来てもいいが、しっかり感情移入できるストーリーになっていることを期待したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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