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『不適切にもほどがある!』最終話後の展開を予想…阿部サダヲは死を回避できるのか【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2024.03.30 15:07 最終更新日:2024.03.30 15:19

『不適切にもほどがある!』最終話後の展開を予想…阿部サダヲは死を回避できるのか【ネタバレあり】

 

 笑って、泣けて、そのうえいろいろなことを考えさせられた『不適切にもほどがある!』(TBS系)。

 

 主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎(クドカン)のコンビで話題を集めたドラマが、3月29日(金)に最終話(第10話)を迎えた。

 

 

 1986年に生きる昭和のおじさん・小川市郎(阿部)が、ひょんなことから2024年にタイムスリップしてしまうストーリー。

 

 市郎が、コンプライアンスなんてなかったに等しい昭和の価値観のまま、令和で出会った人々に絡んでいく様子が楽しいコメディで、現代だとアウトな暴言や行動を上手にギャグとして昇華。

 

 一方、市郎視点で物語を観ることで、コンプライアンスやハラスメントに過敏になっている令和のおかしさも浮き彫りにしていった。
※本稿には『不適切にもほどがある!』最終話のネタバレと、宮藤官九郎作品である『木更津キャッツアイ』(2002年/TBS系)、『俺の家の話』(2021年/TBS系)のネタバレがあります

 

■【ネタバレあり】ラストのテロップはブラックジョーク?

 

 最終話では、タイムマシンバスが最後の1往復となり、市郎はとうとう昭和に戻ることを決意。

 

 最後のタイムスリップでは、令和の職場でパワハラ認定されて落ち込んでいた孫娘・渚(仲里依紗)を連れて昭和へ。渚は昭和にいる若かりし頃の母であり市郎の娘である純子(河合優実)に励まされ、前を向いて令和に帰っていった。

 

 そして、第9話で渚からハラスメントを受けたと訴えていた後輩女性が、最終話の終盤で再登場。エレベーター内で鉢合わせした2人がやんわりと和解するシーンが描かれ、一件落着となった。

 

 ただ、この渚と後輩女性のエピソードは、現代では弱い立場のほうがなんでもかんでもすぐに “○○ハラ” だと言い出す、「ハラスメント・ハラスメント」という新たなる問題を暗示しており、なかなか考えさせられる内容となっていた。

 

 また、本作では《この作品には 不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが 時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み 1986年当時の表現をあえて使用して放送します》といった注意テロップが、たびたび挿入されることがお約束になっていたが、最終話ラストで挿入されたテロップはこれまた皮肉が効いていた。

 

《この作品は 不適切な台詞が多く含まれますが 時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み 2024年当時の表現をあえて使用して放送しました》

 

 最後の最後で上記のメッセージが挿入されたのだ。これは、令和から見た昭和はヤバいけど、さらに未来から見たら令和もけっこうヤバいはずだというアイロニーに違いない。クドカンなりのウィットに富んだブラックジョークだろう。

 

■代表作の主人公たちの運命は…クドカン過去作から考察

 

 ここからは市郎の最終話後の運命について考察していきたい。

 

 1986年を生きる市郎と純子は、9年後となる1995年に起きた阪神・淡路大震災で亡くなっていたことが中盤回で明らかにされていた。

 

 最終話の市郎はその運命を回避しようとする行動を取るも、歴史どおりに純子は大学に合格し、変わらず悲劇に向かっていることが示されたまま終幕。

 

 ただ最終話の終盤で、タイムマシンバスを開発した科学者が2054年の未来の姿で市郎の前に現れ、タイムトンネルを発見したので好きな時代に行けるようになったと告げたのだ。

 

 このタイムトンネルを使えば、1995年の震災直前に市郎と純子は未来に避難し、歴史上は震災で亡くなったことにしつつも、違う時代で名前を変えて父娘が生き延びるという展開も考えられるだろう。

 

 ちなみに、視聴者からは続編を望む声が数多くあがっているが、主演の阿部もクランプアップ時に、「またみなさんとお会いしたいですし、もし続きがあったら楽しみだな…と思っています!」と、続編を期待するコメントを寄せている。

 

 物語的にも続編を作りやすい形で終えているし、なにより視聴者が強く望み、主演俳優も前向きとあれば、続編制作の可能性は十分あるように思える。となれば、続編で市郎と純子が被災を回避する展開もあるかもしれない。

 

 ……が、クドカンがそんなストーリーにするかどうかが最大のポイントだ。彼は自身のオリジナル作品で主人公の死をきちんと描くことが少なくない。

 

 代表作のひとつである『木更津キャッツアイ』は、主人公の青年が余命宣告されている状態で始まる、死に向かっていく青春ストーリー。ドラマ版では主人公が亡くなるところまでは描かれなかったものの、続編となった劇場版ではしっかり死に際が描かれた。

 

 近年の話題作『俺の家の話』の主人公は、最終話前まではピンピン元気に過ごしていたが、急転直下の最終話で不慮の死が描かれた。

 

 これらのストーリーからは、人間にとって死はいつか来る不可避なことだし、予期せずに急に訪れることだってあるが、だからこそ一日一日を懸命に楽しく生きていくべきではないか――というメッセージが込められているように感じる。

 

 そのため『不適切にもほどがある!』の続編が実現したとしても、市郎と純子が震災から逃れて生き延びるストーリーにはならないような気がするのだ。

 

 いずれにしても、笑って、泣けて、考えさせられる素晴らしいドラマだったので、ほかの多くの視聴者と同じく、筆者も続編に期待している。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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