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【葬式の新常識】コロナ死でも10万円から「対面可能」に…ネット事業者の台頭も

ライフ・マネー 投稿日:2021.01.27 11:00FLASH編集部

【葬式の新常識】コロナ死でも10万円から「対面可能」に…ネット事業者の台頭も

写真・PIXTA

 

 コロナ禍の今にあって「大人数のお葬式」は、もう過去のもの。人生の最期はカネをかけず、子供を巻き込まない「簡素化」が主流になりつつある。気持ちよく旅立つため、いつか訪れる問題を、いまこそ考えよう。

 

 葬儀・供養に関する情報サイトを運営する「鎌倉新書」によれば、2020年3月以降、通夜や告別式なしで火葬のみをおこなう「直葬」が急増。通夜なしで告別式と火葬を一日ですませる「一日葬」も増えた。こうしたシンプルな葬儀は近年、増加傾向にあるが、この時期に一気に増えたのは、「コロナ禍での三密回避」が理由であることは明白だ。

 

 

 2020年、新型コロナウイルス感染症により志村けんさんが亡くなった際、親族が遺体と対面もできず火葬されたことが報じられた。それにより、コロナ死=そのまま火葬、というイメージが広まったが、新しい動きも生まれている。

 

 厚生労働省のガイドラインをみると、「遺体が非透過性納体袋に適切に収容され、かつ適切に管理されていれば、遺体からの感染リスクは極めて低く」なり、「遺族等の方の心情や遺体識別の観点からは、少なくともお顔の部分が透明な非透過性納体袋の使用を推奨」している。

 

 したがって、感染対策さえ十分になされれば、臨終後に故人の顔を見てお別れをすることも可能なのだ。新型コロナウイルス感染症で亡くなった人向けのプランを提供している葬儀社もあらわれてきている。

 

 たとえば、葬儀の総合サイト「やさしいお葬式」を運営するライフエンディングテクノロジーズの「最後の面会プラン」では、火葬前に最大5人までが安置施設での面会が可能だ。料金は、オプション扱いで10万円から。

 

 また、最近注目を集めているのは「エンバーミング」という手法だ。遺体の血液を防腐剤と入れ替えて腐敗を防ぐもので、日本ではあまり知られていないが、北米などでは一般的な処理法とされる。

 

 一部の葬儀社では新型コロナウイルス感染症で亡くなった人向けの “エンバーミングプラン” を提供しており、感染症対策の処置をすることによって遺体への接触や、長時間の面会も可能になるという。料金は30万円前後(オプション扱い)だ。

 

 

 コロナ禍以前から、少子高齢化や核家族化により、日本の葬儀の形式は大きく変化しつつあった。鎌倉新書が2020年、葬儀社を対象におこなった調査では、葬儀全体のなかで、身内以外に多くの関係者が参列する従来型の大規模な「一般葬」の占める割合が、初めて半数を下回った。

 

 一方、人気が高まっているのが「家族葬」だ。

 

「『家族葬』はここ20年ほどで広がりました。『小さな葬儀でも恥ずかしくない』と考える人が増え、すっかり定着しました」

 

 そう解説するのは、葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子氏。「家族葬」に、これといった定義はないが、参列者を身内や親族、故人と親しかった人などに限定することで、少人数でゆっくりと別れの時間を持つことができるスタイルだ。一般葬に比べると、料理や返礼品の費用が抑えられる。

 

「加えて、『自分に大きな葬儀は必要ない』と考える人が増えたこと、地域のコミュニティが希薄になりつつあることも、『家族葬』の増加のように “葬儀の簡素化” が進む要因でしょう」(吉川氏、以下同)

 

 

 いまや「一般葬」が一般的ではなくなりつつある時代。どのような形を選ぶべきか。

 

「地域差や、人それぞれの価値観もあり、一概にこれが正しいとは言えません。理想的なのは、親が元気なうちに話し合っておくことです。また、余命宣告などを受けて、ある程度先のことがわかれば、早めに葬儀社の候補を絞ることをおすすめします」

 

 かつては、葬儀を取り扱うのは専門業社や互助会が主流だったが、近年はネット系の業者も参入してきている。

 

「料金が比較的安価なことや明確な料金体系が売りで、ここ10年で台頭してきました。イオンの参入も話題になりました。これは儀式のパッケージ商品を作り、提携する各地の葬儀社が施行を担当するビジネスモデルです。

 

 注意点は、どの業者が施行するのかわからないこと。また、提携社が遠方にあると、葬儀場も遠くなるかもしれません。とはいえ、提携社は基準を満たした業者なので、葬儀の質に問題はない。葬儀をおこなう地域の情報がない場合などには、便利な存在です」

 

 鎌倉新書の調査によれば、コロナ禍で葬儀の規模は「縮小したし、今後も縮小すると思う」と考える業者は、全体の8割を超える。日本が多死社会を迎えつつある今、葬儀の問題を「我が事」と考え、自分なりの答えを見出したい。

 

(週刊FLASH 2021年2月2日号)

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