確定申告の時期がやってきた。
サラリーマンの場合、「家を買ったとき」「医療費がたくさんかかったとき」「副業したとき」など限られた場合に必要なものだが、ではメルカリで服を売ったら申告の必要はあるの?
「衣類や家具、日用品など、自分が生活で使っていたもの、いわゆる『生活用動産』を売った場合は非課税です。ただし、何かを仕入れて販売したり、アクセサリーなどハンドメイドのものを売るなど、商売だと判断されるものには税金がかかります」(元国税局職員の芸人・さんきゅう倉田)
「利益を出す目的なのかどうかで区別されます。サラリーマンの場合、利益目的とみなされるものが年間で20万円を超えると、確定申告が必要になります」(税理士芸人「Gパンパンダ」星野光樹)
奥さんがせっせとメルカリで古着を売っていても大丈夫なのだ。まあその代わりに新しい服を、というのはカンベンしてほしいけど……。
■20万円以上の副業も申告が必要
会社員に無縁と思われてきた確定申告。だが、最近は社員の副業を認める企業が増えてきており、「確定申告しなければいけないサラリーマン」が増えている。
「サラリーマンで確定申告が必要なのは、年間給与が2000万円超の人、そして副業やFX取引など、本業以外で年20万円超の所得がある人などです。申告をしないままでいると脱税とみなされ、追徴税が課される可能性もありますから要注意。
昨年は仮想通貨で儲けた人がいるかもしれません。この場合、年間での利益が20万円を超える場合は申告が必要です。仮想通貨の税区分は『雑所得』になります。
週末にバイトをしているサラリーマンでも、その給与所得が20万円を超えれば申告が必要。サラリーマンの本業の給与以外で所得が合計で20万円を超えれば申告が必要です」(星野)
■「配偶者特別控除」の改正
2019年の確定申告の大きな変更点が「配偶者控除・配偶者特別控除」だ。配偶者の給与収入が年103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなる「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあるだろう。
今回の改正により、その「壁」が引き上げられたのだ。
「妻(配偶者)の給与収入が年150万円以下であれば、配偶者控除と同額の38万円の配偶者特別控除が受けられるようになりました。
201万円までは段階的に控除を受けられる額が変わります。つまり奥さんがより働きやすくなった、もっと稼いでよくなった、ということです」(星野)
控除額は夫の年収によって変わってくる(表参照)。
「奥さんの収入頼りという芸人もけっこういるのが現実。業界には朗報です」(同前)
■「セルフメディケーション税制」って何?
もうひとつ覚えておきたいのが、セルフメディケーション税制だ。
「ご家族の医療費が合計年間10万円を超えれば医療費控除が受けられますが、もっと少ない金額でも税優遇を、と2018年の申告から導入されたのがセルフメディケーション税制。
ドラッグストアやコンビニで、セルフメディケーションに対応した印のある市販薬を、年間1万2000円以上購入した場合、最大8万8000円まで控除の対象になります。
ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらかしか申告できないので、ご注意を」(倉田)
以前は医療費控除の申告には領収書の提出が必要だったが、2018年から明細書のみでOKになった(ただし領収書の5年間の保管義務あり)。サラリーマンの場合、加入している健保組合から送られてくる「医療費のお知らせ」を添付すればよいので簡単だ。
少しでも税金を取り戻すために、手間はかかるが、取り組むべし!
さんきゅうくらた
1985年生まれ 大学卒業後、東京国税局に入り、法人税の税務調査を担当。その後、お笑い芸人の道へ。著書に『読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)
ほしのこうき
1992年生まれ 早稲田大在学中に公認会計士試験に合格。税理士資格も持つ。2017年に同級生の一平と「Gパンパンダ」を結成。2018年「NHK新人お笑い大賞」を受賞
(週刊FLASH 2019年3月5日号)