岸田文雄首相は、8月31日の会見で、旧統一教会問題について国民から批判や疑念が向けられていることについて、「自民党総裁として率直におわび申し上げる」と謝罪した。
そのうえで、「党所属議員との接点の点検・公表」「今後の関係断絶」「霊感商法の被害者救済」を力強く宣言したが、この会見は世論の怒りの火に油を注いでしまったようだ。
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SNSでは、
《お詫びで済むわけないでしょう。反社会的集団で警察や裁判沙汰になっているんですよ》
《今までをどうする、これからをどうするのか 自分らで点検しようが、もみ消すだけだろ》
《早よ第三者委員会つけてチェックしろやマジで国民を舐めすぎ》
など、批判のコメントが大量に投稿されている。
自民党関係者が、こう嘆息を漏らす。
「今後は関係を断絶すると言いますが、相当食い込んでいますから、どこまでできるのか……。被害者救済についても、具体的な話はまだよくわかりません」
教団の問題を追及し続けているジャーナリストの鈴木エイト氏も、「内容は立派だが」と前置きして、こう続ける。
「議員に教団との関係を質して結果を公表してもらいたいのはもちろんですが、しかし、ニュースになったアンケート調査は『祝電・メッセージの送付』『会合への出席』など8項目で、すべて『有無』の2択で回答するもの。これでは何もわかりません。
『信者を秘書として受け入れているか』『教団の体制保護のために便宜を図ったことはあるか』など、聞かなければならない問いがまったくありません。これでは、教団との関係が濃密だった議員にとって何も尋ねられていないに等しい。これでは、首相の言っていることとやっていることが釣り合いません。
しかも、アンケート用紙の1枚めで『党として組織的な関係は一切ないことは既に確認済み』と書かれているため、組織性のニュアンスを含む答えは書けないことになります。まさにポーズだけで無意味な調査です。今後、関係を絶つという先の話をするのは構わないですが、これまでの関係を問う調査としてはおぼつかない状況です」
被害者救済に取り組む姿勢についてはどうか。
「威勢のよさは感じます。ただ、教団の名称変更を認めた文化庁を統括する文部科学省や、子供のケアをする厚生労働省なども含めて、どこまで包括的に対策を進められるかが問題です。霊感商法や献金の被害だけでなく、今回の事件の背景にあった2世など、被害者の家族の問題にもしっかり踏み込まなければならない。
また、信者や家族は海外にもいるので、外務省も関係してきます。さらに、世界平和女性連合(WFWP)や天宙平和連合(UPF)などはNGOとして国連に入り込んでいるので、国として国連に毅然と抗議ができるのか。
また、関係断絶を謳うのはいいですが、教団を反社会的団体として一方的に悪者にし、責任を全部おっかぶせて逃げるのはフェアではない。教団を利用した政治家もきちんと公表し、国民の批判にこたえるべきです」(鈴木氏)
「党として説明責任を果たす」「党の基本方針として徹底」「被害者への対応に万全を期す」と強調した岸田首相。威勢はいいが、実態がここまで明らかになっている以上、もはや “検討使” では許されない。
( SmartFLASH )