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【4月11日の話】ガッツ石松が初めてガッツポーズを決めた日
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.04.11 06:00 最終更新日:2021.04.11 10:58
1974年4月11日、元プロボクサーのガッツ石松が、日大講堂でWBC世界ライト級王座を奪取し、日本初とされる「ガッツポーズ」を決めた。
丸めた両こぶしを宙に突き上げ、強い喜びを表すガッツポーズ。言葉の起原には諸説あるが、日本中にこの言葉が一気に広まったのは、ガッツ石松が何気なく取ったポーズがきっかけだとされている。
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そもそもボクシングを始めた当初、本名の鈴木有二で通していたのが、なぜガッツ石松という名前になったのか。ガッツ本人に事のいきさつを尋ねてみた。
「当時、森の石松さんっていうキャラクターがいてね。ジムの後援者と食事をしていたときに、『お前には、石松みたいな荒くれ者の雰囲気がある。これからのボクシングはパフォーマンスだから、リングネームを鈴木石松に変えろ』って言われたの。
だから、パフォーマンスの一つとして、鈴木石松っていう名前に変えて、三度笠と河童を着るようになったのが第一段階。
ボクシングを続けていくうちにわかったのが、私には素質があったんだけど、ガッツがなかった。あと一歩というところで、たとえ勝っている試合でも試合放棄してしまう。
リングネームを石松に変えて6年たった頃、当時の負け数は11負け5引き分け。プロの世界では、引き分けは負けに値するから、要は16敗しているボクサーだった。
そんなわけで、ジムの後援者から『君はガッツさえ持てばいいボクサーに成長するから、名前を鈴木からガッツに変えろ』とアドバイスされて、ガッツ石松ができあがったんだよね」
そして、1974年の4月11日を迎える。WBC世界ライト王者ロドルフォ・ゴンザレス選手に挑戦するガッツ石松に、周囲の予想は厳しいものだった。
「99%の人たちが、ゴンザレスが勝つと思っていた。私が相手をダウンさせたら、レフリーもびっくりして20秒ぐらいカウントしてたよ(笑)。それでも相手は起き上がれなくて、仕方なく私のことをコールした。
それで『やったぞバカヤロー!』って言いながらリングを飛び跳ねて、万歳したの。グローブをはめているから両手を広げるわけにいかなくて、こぶしを握って万歳したら、そのポーズを報知新聞の柏英樹っていう記者さんが『ガッツポーズ』って書いてくれた。
それ以来、他のスポーツ選手が万歳したときにも、マスコミの人たちが『ガッツポーズ』って書くようになって、その言葉が定着したんだね」
今では、4月11日は「ガッツポーズの日」とされている。ガッツは、当時を振り返り、最後にこう呟いた。
「結局、人間って基本は自分の努力・実力が大事なんだけど、その上で周りの支えによって、自分というものが成り立っていく。だから、私は運の強い男なんだな」
写真提供:ガッツエンタープライズ