国民民主党の玉木雄一郎代表が発した「約37兆円を経済対策にあてたらどうか」という提案が、ネット上で注目を集めている。
10月6日、玉木代表は、衆院代表質問でこう述べた。
「緊急経済対策の財源についても提案があります。政府は為替相場への介入原資として、外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会に約1.3兆ドル、日本円にして約180兆円の資産を保有しており、そのほとんどがドル建の米国債です。
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いま記録的な円安なので、円建ての含み益がそうとう出ているはずです。機械的に計算しても約37兆円あります。総理、外為特会の含み益は本年1月に比べて、いくら出ていますか?
円安で苦しんでいる個人や事業者がいる一方で、国の特別会計は円安でウハウハです。総理、円安メリットを生かすなら、緊急経済対策の財源として、外為特会の円建ての含み益をあててはどうですか」
この発言について、経済学者の高橋洋一・嘉悦大学教授が、10月10日の『現代ビジネス』の『「円安で儲かった37兆円」を経済政策の財源に充てよ…財務省が臨時国会で触れられたくないこと』という記事で、YouTubeチャンネルの対談で質問すると約束していたことを明かしている。2人はともに財務省出身だ。
9月21日に公開された高橋氏のYouTubeチャンネルでの対談で、玉木代表はこう述べていた。
「今年のたとえば1月から今にいたって、だいたいドルの価値は3割ぐらい上がっていますから。110円ぐらいが140円ぐらいになっているわけでしょ。ざっと言って少なくとも30兆円ぐらいはすぐ出る。われわれが言っている23兆円の(緊急経済対策をしても)お釣りが出るくらい」
国民民主党は9月13日、物価高に対応する総額23兆円の緊急経済対策をまとめている。
国民1人あたり10万円を給付する「インフレ手当」、再生可能エネルギーの普及に向けた賦課金の徴収停止による電気代値下げ、ガソリン補助金の継続とガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」凍結解除、消費税の5%引き下げなどを盛り込んでいる。これだけの対策をしても、お釣りが出るほどの含み益が出ているわけだ。
玉木氏の「約37兆円で経済対策」という提案に対して、ネット上でも歓迎する声が上がっている。
《「円安で儲かった37兆円」を特別給付費として、全国民一律30万円を支給すべき》
《とりあえず、2回目の10万円一律給付金を支給してほしいです》
《円安で益が出た37兆円あれば、国民に物価高対策として10万給付しても13兆円だから、余裕だから2.3回出来るな》
岸田文雄首相は10月6日、玉木氏の質問に対しこう答弁し、否定的な見方を示した。
「外為特会が保有する外貨資産は、外国為替相場の安定を目的として、将来の為替介入等に備えて保有しているものであり、財源確保のために外貨を円貨に変えるのは、実質的にドル売り円買いの為替介入そのものとなります。
G7等での国際的な合意において、為替介入は過度な変動や無秩序な動きへの対応のためにおこなわれることとされており、この面から適当ではないと考えております」
玉木氏は高橋氏との対談でこうも発言していた。
「(政府は)ウハウハだから。一方で、(円安で)マイナスの側面が出る産業とか企業・個人もあるので、ウハウハからウハウハじゃないところにちゃんと移転すればいいわけです。国全体でプラスになる」
「聞く力」をアピールしてきた岸田首相。反論も含めて、真面目に検討してほしいものだ。
( SmartFLASH )