「あの子には引退してほしいのよ。もう頑張るような状態じゃないの」
2017年6月下旬、安倍晋三首相の “ゴッドマザー” こと洋子さんは、安倍家馴染みの飲食店店主にこう言ったという。
総選挙に圧勝した安倍首相は、悲願である憲法改正に弾みをつける。だが、母・洋子さんの心配の種は、6月のころと変わりはない。
すると持ち上がるのは、子供のいない安倍首相の後継、3人の首相を輩出した名門の「四代目」選び。「跡目」の候補は、安倍首相の2人の甥っ子だ。
1人めの甥は、安倍首相の兄・安倍寛信氏(三菱商事パッケージング社長)の長男・寛人氏。2人めは首相の弟・岸信夫衆院議員の長男、岸信千世氏だ。
2人のどちらを選ぶかで、安倍首相と洋子さんの間に確執が生じているという。
なぜ確執が生じるのかーー。
政治ジャーナリストの野上忠興氏が解説する。
「かつて、故・晋太郎氏と洋子さんは、寛信氏を晋太郎氏の跡目に望んでいました。しかし、寛信氏には、選挙を手伝ったときに体を壊した経験があり、政治家になる意志はなかった。第1次安倍政権退陣後、洋子さんは地元・山口に帰ると、寛人氏の写真を持って、『晋三の後はよろしくお願いします』と言って回っていたと聞いています」
洋子さんが推す寛人氏は、どんな人物なのか。安倍家の地元支援者が語る。
「弁護士を目指し、慶応義塾大学の法科大学院に進みましたが、2017年4月に三菱商事に入社しました。まだ政治家になる気持ちはないそうですよ」
本誌は8月某日、寛人氏が後継になる可能性について、父の寛信氏を直撃している。寛信氏は、「そんな話はありませんよ」と否定した。
そこで浮上するのが、もう一人の甥・信千世氏である。彼は、慶応義塾大学卒業後、2014年にフジテレビに入社。現在は、報道局社会部の宮内庁担当記者をしている。
「まっすぐな人柄で、熱心な仕事ぶりが知られています。入社時からずっと、政治部志望。本人は、『(報道の世界で)10年は勉強する』と話しています」(フジテレビ関係者)
晋太郎氏の「跡目」は、次男である安倍首相が継いだ。
「父の悲願だった首相に就き、しかも長期政権を維持している自負がある。後継は、自分で決めたいと思っています。幼少のころよく遊び、気心が知れている弟・岸信夫氏の長男なら、安心できるということでしょう」(野上氏)
10月20日、信千世氏を出勤時に直撃した。政界への意欲を問うと……。
「すみません……。広報を通してください」と話した。フジテレビ広報室は「社員の個人的な考え等に関する質問にはお答えできません」と回答。
信千世氏は、「10年勉強」と言うが、安倍首相の健康には懸念が残る。安倍首相が治療を受ける慶応義塾大学病院の関係者は声を潜めてこう言う。
「首相の主治医は交代し、病気の進行に備えている。潰瘍性大腸炎は、ストレスが非常によくない。激務に耐えているのが信じられないほどだ」
「四代目」継承の日への心構えはあるのか。入局したころ、周囲に政治家を継ぐのかと聞かれた信千世氏は、冗談まじりにこう話したという。
「その節には、よろしくお願いします」
(週刊FLASH 2017年11月7日号)