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『18/40』苦労人のはずのシングルマザー福原遥がスーパーラッキーすぎて、どうにも感情移入できない

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.09.12 06:00FLASH編集部

『18/40』苦労人のはずのシングルマザー福原遥がスーパーラッキーすぎて、どうにも感情移入できない

 

 もちろん、ここまでに問題やトラブルはあったものの終始キラキラした物語。

 

 それを、夢も恋もあきらめずに叶えていってよかったとポジティブにとらえるか、周囲の人々に恵まれたラッキー続きのご都合主義とネガティブにとらえるか。筆者はどちらかというと後者だ。

 

 毎週火曜日に放送されている福原遥深田恭子ダブル主演作『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)。

 

 

 キュレーター(美術館などの展覧会の企画・構成・運営を担う専門職)を目指して大学に入学するも、妊娠していることが発覚し、彼氏に逃げられてしまった仲川有栖(福原)。

 

 そんな有栖と出会ったのが、アラフォーになるまで仕事一筋で恋を後回しにし、現代アートを扱う会社でアートスペシャリストとして活躍する成瀬瞳子(深田)だ。

 

 妊娠による体調不良で苦しんでいた有栖を瞳子が助けたことから、2人の関係が始まる。その後、瞳子の高級マンションで有栖は同居することになり、無事に子を出産。時は流れ、子どもを保育園に預けて有栖は休学していた大学への復学を果たす。

 

 有栖と瞳子、倍ほどの年齢差がある2人の絆を軸に、それぞれの夢や恋を描いてきた本作。先週に第9話が放送されており、今夜放送の第10話が最終話となる。

 

■育児は至れり尽くせりのサポート体制、夢も恋も順調

 

 いろいろと思うことのあるドラマだが、なかでも特に有栖に対してのご都合主義はなかなかのもの。

 

 有栖は11歳のときに病気で母を亡くしているし、妊娠した子の父である彼氏は逃げてしまうクズだし、苦労人ではある。

 

 だが、有栖は偶然知り合った瞳子がとにかくお節介を焼き、同居を提案してくれるところからスーパーラッキーが始まっていく。まあ、ダブル主人公の絆がベースのドラマなので茶々を入れるのは野暮かもしれないが、瞳子が経済的に成功しているキャラなので、“棚からぼた餅” 感がすさまじい。

 

 有栖は夢を取って子どもを堕ろすか、子を取って夢をあきらめるかの二択を迫られていたはずだが、瞳子と出会ったことで“高級マンション住まい”&“育児の人手”をダブルゲットといいこと尽くめだった。

 

 さらに、偶然出会った大学のイケメン先輩・祐馬(鈴鹿央士)が、有栖が妊娠していることを知りながら、わりとあっさりと勝手に好きになって熱烈アプローチしてくれる。出産後も子の父親になる覚悟を持ったうえで告白するなど、絵に描いたような誠実な好青年。ちなみに、実は瞳子が勤める会社の社長の息子というセレブだったことも明らかに。

 

 妊娠発覚後にさっさと逃げ出していたクズ彼氏も、途中回で改心して再登場。いきなり姿を消したことを後悔して真摯に謝罪してきて、子の父親として有栖とやり直したいとのこと。有栖は復縁を断わるも、元彼は自分でバイトしたお金で養育費を支払ってくれるようになる“感動”の展開。

 

 また、有栖には高校時代からの親友女子が2人いる。気持ちのいき違いで険悪になったことはあったものの、すぐに仲直りして育児に協力的。

 

 妊娠当初は激怒していた父(安田顕)も好好爺となって助けてくれており、有栖のまわりには瞳子、祐馬、元彼、親友、父親とサポート体制は超万全。

 

 こうして育児だけに忙殺されることなく夢に向かって勉強も続けられた有栖は、瞳子の会社が主催するプロジェクトの「育成キュレーター」コンペに参加しないかという話が持ちかけられていた。

 

 先週放送の第9話では最終選考6人まで残った有栖のプレゼン直前に、保育園から子どもが発熱したという連絡が入るも、祐馬がお迎えを代わってくれ、無事にプレゼンは成功。見事、「育成キュレーター」に選ばれ、夢に向かって大きく前進するのだった。

 

■ご都合主義はほどほどにしたほうがいいのでは?

 

……さて、さすがにラッキーやきれいごとのオンパレードすぎやしないか? 予期せぬ妊娠で出産を決意し、子育てしながら夢を追いかけるというのは美談だが、こんな恵まれたシングルマザーはなかなかいない。

 

 有栖本人の努力があってのサクセスストーリーなのかもしれないし、彼女の人徳あってのラブストーリーなのかもしれないが、どうにもご都合主義でキラキラしすぎていて、観ていて感情移入しづらいのだ。

 

 この物語には、出産でライフステージが変わっても夢も恋もあきらめなくていいんだ、そんなメッセージが込められている。

 

 だが、現実に目をやれば、そうやって何も捨てずにすべてを手に入れられる人なんて、ほんのひと握りではないか。このドラマの制作陣は、べつに“何かを得るために何かを捨てた人”を否定するつもりはないだろうが、そういう人は世の中にたくさんいるはず。

 

 リアリティのあるシリアス路線のストーリーにしたら、あまりにも鬱々としてしまうのかもしれないので、必ずしもラッキーな展開が悪いわけではない。ただ、ご都合主義はほどほどにしたほうがいいのでは……とも思う。

 

 本作の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)はだいたい6%台となっており、見逃し配信の指標となるTVerのお気に入り登録者数は83.1万人(9月10日現在)。大コケとはいわないがヒットとも言いがたい数字である。

 

 今夜放送の最終話では、有栖と瞳子が同居を解消し、それぞれの道を歩んでいくことになるようだ。せめて最終話は、夢見心地のご都合主義ばかりではない、リアリティも織り交ぜてもらいたいものである。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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