ライフ・マネーライフ・マネー

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』一瞬でサクッと決める「樺沢流決断術」

ライフ・マネー 投稿日:2022.08.29 16:00FLASH編集部

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』一瞬でサクッと決める「樺沢流決断術」

スマホを操作する男性

 

■脳のリソースを大切に使う

 

“「毎日、服を選ばない」といった程度の意志力を温存したところで、仕事のパフォーマンスがアップするはずはないだろう” というのが、私の以前からの考えだったので、「意志力の自然消耗説」が否定されていることには賛同します。

 

 しかしながら、集中力、注意力といった脳のリソース(資源)を大切に使うことには反対しません。働きずくめで脳を酷使すると、仕事のパフォーマンスが低下してしまうからです。

 

 なかでも、脳のリソースの最大の無駄遣いは、「スマホ」によるものです。スマホに触れていなくても、机の上にスマホが載っているだけで、注意力や集中力が低下し、仕事の効率が下がることが実験でわかっています。仕事中だけど、スマホを操作したい……。そういう人は、スマホを我慢することに意志力を使っていますから、クッキーを我慢した学生と同じ状態が、仕事中ずっと続くことになります。

 

 また、毎朝着ていく服を選ぶのに10分も20分もかかっている人は、脳のリソースを無駄遣いしている可能性があります。ただ、「これを着ていくと、気分がアガりそう!」などと洋服選びにワクワク感を感じる人の場合、その限りではありません。「楽しい決断」は、脳を疲れさせるどころか、むしろ脳を活性化させ、仕事にプラスの影響を与えるだろう、と私は考えます。

 

■一瞬で決断する方法

 

 では、決断することにいつも苦痛を感じる人、物事をなかなか決められない人、優柔不断な人の場合、どうしたらいいのでしょうか?

 

 そういう人のために、一瞬でサクッと決断、決定できる「樺沢流決断術」を3つご紹介しましょう。

 

(1)5秒で決断する

 

(2)ワクワクするほうを選ぶ

 

(3)最初に思いついたほうを選ぶ

 

「ファーストチェス理論」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。プロのチェスプレイヤーが「5秒で決めた手」と「30分考えた手」のうち86%が同じだったといいます。5秒で考えた手、つまり「直感的に思い浮かんだ最初の判断」は、かなり確からしいということです。

 

 長く考えたところで、最終的な決断に大きな違いはありません。だから、5秒で決断すればいいという理論です。

 

 しかし、「決断は5秒でしなさい」と言われても、やはり多くの人は「そんなに簡単に決められたら苦労はしない」と思うでしょう。そこで登場するのが、2つめの「ワクワクするほうを選ぶ」です。なぜワクワクするのかというと、無意識レベルであなたが「それ」を望んでいるからです。

 

 ワクワクするとき、幸福物質のドーパミンが出ています。ドーパミンは、集中力やモチベーション、そして記憶力など脳のパフォーマンスを高めるので、実際、その決断を実行すると成功確率が高まるのです。逆に言うと、「気がのらない決断」をするときは、ストレスホルモンが出ますので、失敗確率は高まります。

 

 3つめの「最初に思いついたほうを選ぶ」について言うと、後から出てくる考えは、打算的、常識的、保守的で、つまらない考えだからです。

 

 あなたが「今日で最終日の映画を観に行きたい。でも、仕事が忙しいからやめておこう」と思ったとしましょう。この場合、「映画を観よう」のがあなたの本心、無意識の声、ワクワクする決断です。「仕事が忙しいからやめておこう」は、心の「言い訳」です。打算や世間体を考えた後者の決断を続けていくと、じつにつまらない人生になるでしょう。

 

かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

 

イラスト・浜本ひろし

( 週刊FLASH 2022年9月6日号 )

続きを見る
12

ライフ・マネー一覧をもっと見る

ライフ・マネー 一覧を見る

今、あなたにおすすめの記事